内容説明
ユダヤ人を迫害するナチスから逃れ、一家で米国に移住したキッシンジャーは第二次世界大戦末期、米陸軍二等兵として母国ドイツの土を踏み、ホロコーストの地獄を目撃する。戦後復員してハーバード大学で政治学を学び、核戦力研究で頭角を現す。当代屈指の歴史家が「世界を動かした男」を「ありままに」描いた超弩級評伝。2015年フィナンシャルタイムズ選出ベストブック。
目次
第1部 BOOK1(生まれ故郷;脱出;ハドソンのフュルト;予想外の二等兵;生ける者と死せる者;第三帝国の廃墟にて)
第2部 BOOK2(理想主義者;心理戦;キッシンジャー博士;ストレンジラブ博士?;北東部メガロポリス)
著者等紹介
ファーガソン,ニーアル[ファーガソン,ニーアル] [Ferguson,Niall]
歴史家。スタンフォード大学フーヴァー研究所シニアフェロー、オックスフォード大学ジーザスカレッジのシニアリサーチ・フェロー。元ハーバード大学教授。1964年、英国グラスゴー生まれ。2004年にタイム誌で「世界で最も影響力のある100人」に選出
村井章子[ムライアキコ]
翻訳家。上智大学文学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
34
ニーアル・ファーガソンにとってヘンリー・キッシンジャーは、評伝の相手としてはさぞかし手強い人物だったはずだ。子供時代についてキッシンジャーは「幼い頃の経験がその後の私を解き明かすカギになるとは思わない」と素っ気ないし、その時期過ごしたドイツのフュルトについても「フュルトには何の関心もない」とにべもない。さらに、ドイツ系ユダヤ人であるという出自ですら「私はナチズムの衝撃を経験した。それはじつにいやな経験だった。それでも同年代のユダヤ人の友達とはなかよくしていたし、思い出すのがつらいわけでもない……(つづく)2019/06/24
飯田健雄
24
よかった。分厚い本(上下で約800ページ)だったけれど、最後のエピローグ部分がよかった。なにかこの最後部を読んで、世界政治と格闘する男からの「人生の意味」を知ったような気がして明日死んでもいいかというすがすがしい安堵感も得た。キッシンジャーも今年で100歳、すでに世にいないケネディ、ジョンソン、ハーバート大学の同僚の亡霊に囲まれて歴史哲学を話しているのだろう。サブタイトルは理想主義者ではなく、「世界政治に対峙したある歴史哲学者」にした方がよかったかもよかったかもしれない。2023/02/08
健
13
キッシンジャーがドイツ生まれのユダヤ人だったとは知らなかった。ドイツで過ごした少年時代、そして台頭してきたナチスを逃れてアメリカに渡り、第二次世界大戦に従軍する辺りは伝記として大変興味深い。大戦後、ハーバードで学生時代を送って、大学院まで出てから学者として活躍し始めるが、学者としての活動がメインになってくると、書かれた内容が論点になってくるので、ちょっと難しく感じる。終盤『核兵器と外交政策』の出版で一躍有名人になってからは、切れ者であるが故の鼻持ちならない感じが出てきて上巻が終わる。下巻での展開が楽しみ。2024/02/03
健
11
先日一回読んで図書館に返そうと思ったけど、どうにも消化不良の気がして後半だけ再読した。後半は復員してハーバードに入学、博士課程を終えて核戦略の専門家として活躍し始めるまでだが、卒業論文は「歴史の意味」で、歴史的決定論と個人の自由意思の根本的対立について扱い、博士論文は「平和、正統性、均衡(カースルレイ子爵とメッテルニヒの政治的手法の考察)」で、ウィーン会議後のヨーロッパの平和を扱って、核戦略とは直接的には繋がっていない。それでも、キッシンジャーが目指していたものの土台が明確になっており大変興味深かった。2024/02/14
よっし~
7
現代史上 不世出の外交官、ヘンリー・キッシンジャー。外交の世界には大きな「グレーゾーン」があり意思決定が極めて困難な世界だが、キッシンジャーは「パワーバランス」を優先するスタンスで時に非情なリアリズムと明晰な分析力で何度も国際政治の危機をしのいできた。その大人物に肉薄する圧倒的評伝。本書は幼少のキッシンジャーがナチスの迫害を逃れて渡米し、長じてニクソンのブレーンとなるまでを描く。究極のリアリストを理想主義者と捉える点に惹かれた。大部の傑作。下巻が楽しみである。2019/10/21
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