アメリカ経済―成長の終焉〈下〉

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アメリカ経済―成長の終焉〈下〉

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  • サイズ B6判/ページ数 589p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784822255770
  • NDC分類 332.53
  • Cコード C2034

出版社内容情報

「私が本書でもっとも衝撃を受けた章は、翻訳で「1920年代から50年代の大躍進:何が奇跡を起こしたのか?」と題された第16章である。1920年代までの技術革新がマクロ経済レベルで生産性を飛躍的に高める契機となったのが、何と1929年より始まった大恐慌と1940年代前半の大戦だったというのである。ゴードン教授は、こうした大恐慌と大戦の影響は、戦後の1970年まで米国の生産性を持続的に向上させてきたと主張している。
 ここで衝撃というのは、私を含めて多くの経済学者が、大恐慌や戦時経済を大きな負の供給ショックと捉えて、生産性向上の深刻な阻害要因と解釈してきたからである。確かに、大恐慌を契機に実施されたニューディール政策や莫大な戦争支出は、ケインズ経済学的な意味で経済刺激効果を生み出してきたが、それは、供給面ではなく、需要面を通じた効果とされてきた。それが、ゴードン教授によると大恐慌と大戦によって米国経済の供給サイドが飛躍的に改善されたというのであるから、私たちが持っていた常識を根底から覆す主張ということになる。」
 ーー齊藤誠一橋大学教授の解説から


アメリカの生産性と経済成長に関する議論を一変させる傑作である。ロバート・ゴードンは、1870年以降、驚異的なペースでアメリカ人の生活が向上したことを時系列で描きつつ、それを可能にした大発明の恩恵は一回限りのもので、繰り返すことができないのではないか、という根本的な疑問を提起する。具体的で詳細な記述と効果的で明晰な経済分析を組み合わせることで、ゴードンは説得力ある主張を展開している。経済史の金字塔である。
――ケネス・ロゴフ、『国家は破綻する』の共著者

本書は重要な書であると同時に心をかき乱される書でもある。ゴードンは、経済成長の黄金期は終わった、との説得力ある主張を展開する。経済成長の未来を憂う者は、ゴードンの議論を慎重に検討する必要があろう。
――ローレンス・サマーズ、ハーヴァード大学

ケインズは、「長期的には、われわれはみな死んでいる」と言って、経済のトレンドに対する懸念を問題にしなかった。ゴードンは、長期的にわれわれはみな先人の遺産を受け継いでいることを思い出させ、この見方をひっくり返す。将来世代への遺産に関心があるなら、アメリカの経済成長の特別な世紀について豊かな筆致で描かれた本書は必読である。――ポール・ローマー、ニューヨーク大学

第2部 一九四〇年?二〇一五年 黄金時代と成長鈍化の気配
第10章 ファストフード、合成繊維、分譲住宅ーー食料、衣服、住宅分野の変化の減速 第11章 シボレー、あるいは飛行機の窓からアメリカを眺める
第12章 娯楽と通信ーーミルトン・バールからiPhoneまで
第13章 コンピュータとインターネットーーメインフレームからファイスブックまで
第14章 抗生物質、CTスキャン、そして保健と医療の発達
第15章 職場と家庭の労働環境、若者、退職後の暮らし
第3部に向けて  成長の減速をどう理解するか
第3部  成長の加速要因と減速要因
第16章 一九二〇年代から五〇年代の大躍進ーー何が奇跡を起こしたのか?
第17章 イノベーションーー将来の発明は過去の大発明に匹敵するのか
第18章 格差とその他の逆風ーー長期的なアメリカの経済成長の伸び悩み


ロバート・J・ゴードン[ロバートジェイゴードン]
著・文・その他

高遠 裕子[タカトオユウコ]
翻訳

山岡 由美[ヤマオカユミ]
翻訳

内容説明

コンピュータやインターネットは、1870年以降の「特別な世紀」におけるほどの生活の変化をもたらしてはいない―1940年から2015年までのイノベーションの歴史を総括。

目次

第2部 一九四〇年‐二〇一五年 黄金時代と成長鈍化の気配(ファストフード、合成繊維、分譲住宅―食料、衣服、住宅分野の変化の減速;シボレー、あるいは飛行機の窓からアメリカを眺める;娯楽と通信―ミルトン・バールからiPhoneまで;コンピュータとインターネット―メインフレームからフェイスブックまで;抗生物質、CTスキャン、そして保健と医療の発達;職場と家庭の労働環境、若者、退職後の暮らし;成長の減速をどう理解するか)
第3部 成長の加速要因と減速要因(一九二〇年代から五〇年代の大躍進―何が奇跡を起こしたのか?;イノベーション―将来の発明は過去の大発明に匹敵するのか;格差とその他の逆風―長期的なアメリカの経済成長の伸び悩み)

著者等紹介

ゴードン,ロバート・J.[ゴードン,ロバートJ.] [Gordon,Robert J.]
米ノースウェスタン大学教授。専門はマクロ経済学。1940年生まれ。父は元アメリカ経済学会会長ロバート・アーロン、母マーガレットも経済学者。ハーバード大学、オックスフォード大学を卒業後、マサチューセッツ工科大学でph.D.取得。ハーバード、シカゴ大学助教授を経て、1973年から現職

高遠裕子[タカトオユウコ]
翻訳家。主な訳書にターナー『債務、さもなくば悪魔』(日経BP社)、レヴィット他『ミクロ経済学』基礎編、発展編(東洋経済新報社)など

山岡由美[ヤマオカユミ]
津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業。出版社勤務を経て翻訳業に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Miyoshi Hirotaka

24
社会を変えた大変化は記録されない。1920年代までの技術革新は大恐慌と戦時経済で飛躍的に改善された。危機対応として展開された労働時間短縮と生産規律の向上の成果は軍需から民需へ転換した後も引き継がれた。軍人が国費で大学教育を受けられる制度も労働力の質向上を後押しした。一方、1970年代より成長は徐々に減速。低中所得者の所得の伸びが止まり、格差が拡大。生産や労働力をアウトソーシングしたことにより賃金の下落圧力が強まった。さらに、教育、年金などの債務が拡大。IT分野での技術革新はこれらを解消するに至っていない。2019/07/27

koji

14
この上下巻千頁を超える大作を読み終えて、(齊藤教授のあとがきの言葉どおり)この経済書を手許に置いて自国の将来を語れるアメリカ人をとても羨ましく思いました。そして本書は各章のまとめを拾い読みするだけでなく、「神は細部に宿る」の言葉通り、本文の小さな記述まで味わい尽くすことに醍醐味があると分かりました。結論は悲観的な未来予測になっていますが、それを乗り越える労働スキル、人的資源、教育の向上に望みを持っていることに、著者の賢明さと知恵を感じました。どなたか同じように日本経済の処方箋を描いてくれないでしょうか。2019/04/12

人生ゴルディアス

5
1940年以降、1970年までが大進歩の黄金期で、それ以降では生活全体が入れ替わるというのではなく、部分部分でそれなりのものが出る、という流れ。ネットとデジタル化の影響でさえ、1994年から2004年でほぼ使い尽くし、その後は大きな変化を与えていないとする。実際、スマホもPCも高性能すぎて買い替える理由がない。ただ、自動運転は広く行きわたれば土地の活用と都市の景観が根底から変わるし、ChatGPTのようなAIは「プログラムを生産する機械」になり得るため、驚くべき変化が待っていそう…な気はするが、果たして。2023/12/05

GASHOW

4
今日の世界が繋がった経済を実感できるのは、アメリカのシリコンバレーを中心としたテクノロジーのおかげであり、世界の基軸通貨としてのドルの役割がある。アメリカさえも、グローバル企業から税収を取り損ねているが、先進国としての市場と労働人口のバランスが優れている。中国やインドやアフリカは、先進国のインフラが整っていないが、人口がいるため成長する可能性はある。世界の金持ち8人が世界の富の半分を持っている。アメリカの格差は、成長に必要な中流を無くしているので、終焉を迎える可能性が高い。2019/08/01

アルミの鉄鍋

4
★4 第3部あたりから面白くなった。巷にあるイノベーション=経済成長ではないというのをある程度の根拠から考察。分厚いがとてもテンポよく読めて面白い。分厚さだけで読まないのはもったいない本だと思う。2018/11/29

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