出版社内容情報
著者スコット・パタースンの日本語版への序文から(抜粋)
二〇一二年に本書が米国とヨーロッパで出版されたとき、この話を信じる者は少なかった。何百年もの間、営業を続けてきた権威あるニューヨーク証券取引所のような公開市場に対して、ちっぽけな企業が影響力を行使できるものだろうか? 批評家たちは、混雑する立会場上で大振りな手信号で合図する慌ただしいトレーダーがいた古い取引所が既に存在しないことに気づいていなかった。新しい市場は、ニューヨークの忙しい大通りから遠く離れたニュージャージー州郊外にある巨大なサーバー・ファームからなっていた。
別の展開が懐疑的な人々を沈黙させた。二〇一二年と二〇一三年に米国の取引所と高速取引会社に起きた一連の不具合は、新しい市場が以前にも増して危険であることを証明した。その頃から、米国の規制当局が厳しい取り締まりを始めた。二〇一五年、米国証券取引委員会は、選ばれた優待客(別名:高速トレーダー)に複数の取引所の仕組みを漏洩した罪で本書で取り上げた取引所のダイレクト・エッジに罰金を科した。一四〇〇万ドルという金額は取引所への罰金としては当時の史上最高額だった。
コンピュータが主導する市場は、こうした理由から全く新たなレベルの開示基準を求められる。規制当局は、素早く追いつかなければならず、取引所と高速トレーダーの仕組みを理解しなくてはならない。さもないと、このゲームは続き、定年後のために働く一般投資家が損をすることになる。
一つ明らかなのは世界が前進するということであり、取引所は電子化され、コンピュータ主導になるということだ。ロマンチックなイメージではあっても立会場で手を振るトレーダーの日々に回帰することはない。この変化には優れた面もある。以前より安く取引ができ、全般的により効率的だ。
だが、恐ろしく賢いプログラマーによって設計された非常に複雑なコンピュータ・アルゴリズムに制御され、取引所は遥かに不透明でもある。
内容説明
人工知能のマシン・トレーダーはバフェットを超えた?マイクロ秒で勝負が決まる高頻度高速株取引の最前線をウォールストリート・ジャーナル記者が描く金融ノンフィクション。
目次
第1部 マシン対マシン(トレーディング・マシンズ社;サイズ・ゲーム ほか)
第2部 マシン誕生(盗っ人たち;ウォッチャー誕生 ほか)
第3部 マシンの勝利(野獣の腹の中;取引プラットフォーム ほか)
第4部 マシンの未来(八百長ゲーム;ビッグデータ ほか)
著者等紹介
パタースン,スコット[パタースン,スコット] [Patterson,Scott]
ウォールストリート・ジャーナル紙の金融担当記者
永野直美[ナガノナオミ]
翻訳者。上智大学外国語学部卒、スタンフォード大学美術史学部博士課程満期修了。ウォールストリート・ジャーナル東京支局、ニューヨーク本社などに勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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