Nikkei BP classics
赤字の民主主義―ケインズが遺したもの

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  • サイズ B6判/ページ数 363p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784822250539
  • NDC分類 332.53
  • Cコード C0330

出版社内容情報

1000兆円を突破した日本の財政赤字をまつまでもなく、民主主義国の政府はとかく財政赤字を膨らませがちだ。民主主義が財政赤字を生み出すのは、ケインズ経済学に原因があると、ケインズ経済学全盛の1970年代に断罪したのが本書。
経済学の始祖アダム・スミスは「国家財政は家計となんら変わらない」と説いた。この「責任財政」の原則は、ケインズ革命によって崩れ去った。ケインズは、家計と財政は別物であり、均衡財政の「呪縛」から解き放たなければ、失業も不況もなくならない、と説いたからだ。「市場は不完全であり、不況時には財政赤字を通じて総需要を増やし、景気回復を図るべきだ」というケインズの教えは、瞬く間にアメリカの二流・三流学者を虜にし、教科書に盛り込まれた。ところが、1970年代に入って、アメリカの財政赤字は膨らみ、政府は肥大化し、インフレと高失業率が共存するスタグフレーションに苦しんでいる。
 やはりケインズが間違っていたのだ。どこか。不況時の財政赤字を好況時の財政黒字で相殺するというケインズの処方箋は、知識階級のエリート層が政策を自由に決定できる世界を想定している。しかし、現実の民主主義社会では、政治家は選挙があるため、減税はできても増税は困難だ。ブキャナン、ワグナーは、民主主義の下で財政を均衡させ、政府の肥大化を防ぐには、憲法で財政均衡を義務付けるしかない、と主張する。

第1部 何が起きていたのか 
1・ケインズが遺したもの
2・伝統的な財政観
3・三流学者の改宗
4.伝播する「教え」
5・夢のあと
第2部 何がいけなかったのか
6・ハーベイロードの前提
7・民主政治下のケインズ政策
8・貨幣増刷と民主政治
9・制度上の制約と政治上の選択 
第3部 どうすればよいのか
10・新たな政策ルールの出現
11・完全雇用は実現できるか
12・責任ある財政政策への回帰

【著者紹介】
アメリカの経済学者。好況選択論を提唱、経済学・財政学を超えて影響を与えた。1986年にノーベル経済学賞を受賞。2013年1月9日、93歳で死去。著書に『公共選択論』(ゴードン・タロックとの共著、1962年)、『財政理論』(1967年)

内容説明

アメリカの財政赤字、通貨の膨張、公的部門の肥大化の原因をケインズ派の経済政策にあると激烈に批判したノーベル賞学者の珠玉の1冊。

目次

第1部 何が起きていたのか(ケインズが遺したもの;ケインズ以前の財政信仰;まずは三流学者を;伝播する新たな「教え」;被害の検証)
第2部 何がいけなかったのか(ハーベイロードの前提;民主政治のケインズ経済学;通貨発行型の財政赤字と民主政治;制度面の制約と政治的な選択)
第3部 どうすればよいのか(代替的な予算ルール;完全雇用はどうなるのか;財政理念への回帰)

著者等紹介

ブキャナン,ジェームズ・M.[ブキャナン,ジェームズM.] [Buchanan,James M.]
1919~2013。アメリカの経済学者。公共選択論を提唱し、経済学、財政学を超えて広い学問分野に影響を与えた。ジョージ・メイソン大学のゴードン・タロックとともにケインズ経済学を批判するバージニア学派の中心的存在だった。1986年にノーベル経済学賞を受賞

ワグナー,リチャード・E.[ワグナー,リチャードE.] [Wagner,Richard E.]
1941年生まれ。ジョージ・メイソン大学教授。バージニア大学でブキャナンに師事して博士号を取得。フロリダ州立大学教授などを経て現職。専門は財政学、公共選択論

大野一[オオノハジメ]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

脳疣沼

3
本書の内容が、現在の財政保守派の著作で、手を替え品を替え、何度も繰り返されている。日本は財政破綻への道まっしぐらだが、そうなるのもしょうがないことは、本書を読めばよく分かる。最近はMMTなるものも登場してきて、より拍車がかかったようである。2020/09/10

プラス3

3
古典のレビューとしてはありきたり過ぎて申し訳ないが「本書の記述は、現在の日本が置かれている状況にも通ずるものがあり、多くの示唆を与えてくれうんたらかんたら」といった感じ。笑っちゃうくらい似てるんだものwww。2014/12/13

キャッツアイ

2
日本の財政赤字の原因はこういうことなんでしょうか?ケインズ経済学は資本主義経済ではなく、社会主義経済に適しているのかもしれません。2015/01/16

世人

1
60~70年代のアメリカを舞台に、ケインズ主義の経済理論がどのようなものであったか、それがいかなる帰結をもたらしたかを分析している。政府の歳出拡大には増税・公債・通貨発行の三手段があり、そのどれもが私的財の公共財への移転をもたらし、特に後者二つについてはインフレという形で財産移転が行われるため、主権者から見て分かりずらくされる点で悪質であるというのが本書の主張である。政治家や投票者の「主観的」利益計算に着目し、それが政治決定にどう反映されるかを分析する公共選択論の意義がよく理解できる。2024/03/03

ぐりペンギン

1
1970年代にアメリカの財政について書かれた本なのに、何故将来の日本のことを言い当ててるの?と言いたくなる。憲法などで歯止めを掛けないと民主政治下での財政は放漫になりいづれ行き詰まると言う。日本はどうなるんだろう?2020/06/14

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