出版社内容情報
日経BPクラシックスの20冊目の節目となる経済学の古典中の古典の新訳。ページ数はシリーズ最大の752ページ。
アダム・スミス『道徳感情論』新訳である。その冒頭ーー。
「人間というものをどれほど利己的とみなすとしても、なおその生まれ持った性質の中には他の人のことを心に懸けずにはいられない何らかの働きがあり、他人の幸福を目にする快さ以外に何も得るものがなくとも、その人たちの幸福を自分にとってなくてはならないと感じさせる」
スミスといえば、利己心が市場経済を動かすという『国富論』の記述が有名だが、スミスの『国富論』に先立つ主著である『道徳感情論』では、他者への「共感」が人間行動の根底に置かれる。
本書序文を書いているノーベル経済学賞受賞者アマルティア・センは、こう述べている。
「スミスは、広くは経済のシステム、狭くは市場の機能が利己心以外の動機にいかに大きく依存するかを論じている。(中略)事実、スミスは『思慮』を『自分にとって最も役立つ徳』とみなす一方で、『他人にとってたいへん有用なのは、慈悲、正義、寛容、公共心といった資質』だと述べている。これら二点をはっきりと主張しているにもかかわらず、残念ながら現代の経済学の大半は、スミスの解釈においてどちらも正しく理解していない。」
リーマン・ショック後の世界的な経済危機を経て、新しい資本主義を考える際の必読書といえる。
アマルティア・センの序文
第1部 行為の適否について
第2部 価値と害悪、すなわち報いる対象と罰する対象について
第3部 自分自身の感情と行動に関する判断の根拠について、および義務感について
第4部 効用が是認の感情におよぼす影響について
第5部 慣習と流行が是認の可否の感情におよぼす影響について
第6部 徳の性格について
第7部 道徳哲学の学説について
【著者紹介】
(1723-1790)近代経済学の父ともいわれる英国スコットランドの経済学者・哲学者。主著に『国富論』『道徳情操論』
内容説明
『国富論』に先立って「経済学の父」が構想した「共感」原理に基づく道徳哲学の全貌。
目次
第1部 行為の適否について
第2部 価値と害悪、すなわち報いる対象と罰する対象について
第3部 自分自身の感情と行動に関する判断の根拠について、および義務感について
第4部 効用が是認の感情におよぼす影響について
第5部 慣習と流行が是認の可否の感情におよぼす影響について
第6部 徳の性格について
第7部 道徳哲学の学説について
著者等紹介
スミス,アダム[スミス,アダム] [Smith,Adam]
1723~1790。スコットランド生まれの経済学者、哲学者。グラスゴー大学でハチスンに道徳哲学を学び、1740年からオックスフォード大学で学ぶ。1751年グラスゴー大学教授として論理学、道徳哲学を教える。59年『道徳感情論』を発表して名を成す。63年公爵ヘンリー・スコットの家庭教師として渡仏。ヒューム、ケネーらと交遊。76年『諸国民の富の性質と原因の研究』『国富論』を刊行。この業績によって、経済学の父と称えられる。その労働価値説は、カール・マルクスに引き継がれた
村井章子[ムライアキコ]
翻訳家。上智大学文学部卒業
北川知子[キタガワトモコ]
翻訳家。奈良女子大学大学院修士課程(社会学専攻)修了。国立国会図書館勤務を経て翻訳業に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かわうそ
かわうそ
かわうそ
テツ
Francis