内容説明
実は、経済学の核となる概念はカネではない。インセンティブである。簡単に言えば、人間に行動を起こさせるもの―その活用術を、子供への家事手伝いのやらせ方、会議のやり過ごし方、歯科医のおだて方、マラケシュでのガイドの雇い方を例に、とことん魅力的にお教えしよう。
目次
第1章 バナナなら買える。けれど、市場にないものも欲しい
第2章 世界をうまく動かす方法―基本編
第3章 世界をうまく動かす方法―応用編
第4章 芸術を真に楽しむために「足りないもの」は何か?
第5章 シグナルは語る―家庭でも、デート中も、拷問のときも
第6章 「自己欺瞞」という危険だが不可欠な技術
第7章 とにかくおいしく食べるきわめつけの極意
第8章 七つの大罪の市場―その傾向と対策
第9章 クリスマス・プレゼントは世界を救うだろうか?
第10章 内なるエコノミストとわれらの文明の未来
著者等紹介
コーエン,タイラー[コーエン,タイラー][Cowen,Tyler]
米国ジョージ・メイソン大学の経済学教授。ブログは、エスニック料理から金融危機までを扱う経済学ブログとして、世界的に人気を博している。ニューヨーク・タイムズ紙に定期的に寄稿しているほか、フォーブス誌、ウォールストリート・ジャーナル紙、ワシントン・ポスト紙、ロサンゼルス・タイムズ紙などにも執筆している
高遠裕子[タカトオユウコ]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAKAPO
20
★新しい視点を学ぶ★邦題は『インセンティブ』だが原題は[DISCOVER YOUR INNER ECONOMIST]キーワードは「インセンティブ」と「シグナル」≪身の回りをうまく動かしたいのであれば、インセンティブのバランスの取り方を学ぶ必要がある。人はカネなどの外的要因によってやる気にもなれば、喜びや自尊心、すばらしい仕事をしたいといった純粋な動機など、内的要因でもやる気になる…人にどう見えるかは、各自が送るシグナルの総和であり、いかにその時の状況に合ったシグナルを送れたかで決まる。≫との説が興味深い。2015/07/30
KAZOO
18
これも行動経済学に分類される本かもしれません。著者は経済学者のようですが、様々な話題をかなり砕いて説明してくれています。とくに「七つの大罪の市場」という章が面白くかなり笑ってしまいました。気楽に読める経済学に関するエッセイのような感じです。2014/07/06
FFFT
5
現実に目の前に提示されたタスクを達成することでそのタスクの実行者はどんな価値を得るか。単純に物や金銭的な報酬、一時的な感情の満足ではなく、 所属するコミュニティからの感謝、社会的尊敬など、タスクの実行者がよりよいステータスを得られる要素を持つものをインセンティブとして付与する。そういった商品、サービス、ビジネスモデルはこれからの世界ではどんどん広まっていくだろう。タスクの実行者は自信の存在意義を高め、タスクの達成によって世界全体が寄りよい方向に向かっていく。な~んて思いました。2012/10/06
kco
2
面白い経済学本。小ネタ満載だから単純に楽しめる。「何かが足りないことにいかに対処するか」。そうそう生きる基本はこれなのよね。と。ごちゃごちゃ考えるから面倒になっちゃうんだろうな。手段が目的化しちゃうアレ。2014/04/19
Uzundk
2
面白い経済学の本はどれと聞かれたら今後は間違いなくこれを勧める。 内容は明快で無い。と言うか明快に答えられない。つまり、私達が何を欲して何のために行動し、何に影響を受けて決定をしているのかという分からないことを、"分からないし不可解だと認める"ところから始めようというところ。願望と期待による私達の未来予測が、どれだけ自己中心的で自己欺瞞に溢れ、でもそれこそが"人間らしさ"の上で必要で私達の行動指針を支えているかを掘り下げている。とにかく辛辣で面白い。自分の欲望を確かめるときにはこの本を持って行きたい。2014/03/22