JALの現場力

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JALの現場力

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  • サイズ B6判/ページ数 300p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784822239459
  • NDC分類 687.067
  • Cコード C0034

出版社内容情報

 2010年の経営破綻から再生を果たし、2016年3月期には過去最高の営業利益を上げた日本航空(JAL)。
再生の原動力となったのは、アメーバ経営・JALフィロソフィの導入により意識改革し「燃える集団」となった最前線の社員たちだ。

 会長に就任した稲盛和夫氏の教えを採り入れ、客室や整備、空港などの現場は日々の業務を改め、採算性を改善。
また、破綻で失ったブランドと信頼をゼロから再び築き上げるべく、各現場は自社のサービスを見直し、空港や客室での接客の改善や世界一の定時運航、驚きや楽しさのある新たな機内食など、サービスの向上につなげていった。

 併せて破綻後のJALでは「人づくり」を重視。新入社員教育から年3回の「JALフィロソフィ教育」、客室訓練、女性活躍、働き方改革まで、JALならではの行動哲学を徹底しつつ、全社員が働きやすい環境を整えるべく取り組んでいる。

 生まれ変わったJALで、組織と社員の総合力が遺憾なく発揮されたのが、2016年4月に起きた熊本地震だ。
二度にわたる震度7の揺れで熊本空港の発着便がストップし、現地スタッフの2/3が避難を余儀なくされるなか、各担当者はどう動いたのか。

 雑誌『日経情報ストラテジー』で大きな反響を呼んだ特集記事に大幅加筆し、稲盛和夫名誉顧問へのインタビューも収録。
航空業界を長年ウオッチする専門記者が、取材期間1年以上、対象者100人超に及ぶ綿密な現場取材を基に、JAL社員たちの最前線での奮闘ぶりを追い、リアルな筆致で描写したケーススタディ&ドキュメント。

はじめに ?不撓不屈のバトンタッチ?

≪第1部≫「奇跡の復活」は奇跡にあらず 3万2千人の社員支える「車の両輪」
■第一章 部門別採算制度
 定数キットで無駄をなくす/ビニール袋の「コスト」まで意識/
 「JALを支えている」と実感/目標超過でも「すみません」/現場社員も数字を読み込む

■第二章 JALフィロソフィ
 「ブラック」と無縁の行動哲学/意識の持ち方に課題あり/
 「リーダー教育」を集中開催/京セラフィロソフィを読み解く/終わりのない取り組み

≪第2部≫最高の財産は社員たち JALの「人づくり」の現場
■第一章 新入社員教育
 入社初日から破綻の振り返り/「考える」「書き出す」「話す」「議論する」/
 教育リーダーは「講師」にあらず

■第二章 JALなでしこラボ
 女性活躍の具体策、自分たちで考案/昇進に消極的な女性社員たちに、二つの解決策/
 ロールモデルがいないなら、「パーツモデル」を集めよ/分析で分かった、女性活躍阻む四つの壁/
 壁の打破に有効、毎朝十分間の「朝活」/四十代後半から急増、管理職が直面する親の介護/
 鬼教官からダイバーシティを学んだ植木社長/社長職を楽しめない社長では…

≪第3部≫深夜残業の常連部署を変えた二つの挑戦
 一日の残業時間を一時間四十八分削減/「総力戦」で全社へ伝播/
 「最大の資産」である社員に投資

≪第4部≫熊本地震…そのとき現場は 難局に立ち向かうチームワーク
 ただならぬ揺れにうずくまる、LINEで安否確認/「新幹線が脱線」、臨時便確保へ部門越え連携/
 本震でターミナルに被害、運航もストップ/崩落した阿蘇大橋「もう少し残業していたら…」/
 「運航再開を急ぐな」と指示した植木社長/全社員に電話をかけ続けたJALスカイ九州社長/
 「熊本へ行かせてください」/運航再開前に熊本へ飛んだJAL便/
 霧に強い、ネット対応… 機材繰りで被災者に配慮/本部長が本社と調整、副社長は手荷物運び/
 四人がかりで車いす運搬、現場支えた応援スタッフ/
 人から人へ、カードに思いをこめて/感謝を形に 「増収の熊本」の本領発揮
 ベテラン機長直伝、「伝わる」会話術

≪第5部≫定時到着率世界一を実現したデータ分析と現場力
 「定時発着」の定義はさまざま/費用をかけずに、お客様に恩返し/
 縦割りの弊害「出発は定時じゃなくても…」/「定時性会議」で、ペット搭載の課題を大幅改善/
 朝の遅延ワースト五を徹底分析/現場で連日観察、動線の課題を見極め/
 搭乗口を区切り、優先搭乗をスムーズに/搭乗口スタッフ、定刻前十五分間の脳内パズル/
 手荷物の積み下ろしでもギリギリの判断/チェックイン時の対応やIT活用も重要

≪第6部≫臨機応変のおもてなしの裏側 どんな状況でも欠かさぬ気配り
■第一章 空港でのおもてなしを究める
 国内外の空港スタッフが競い合うコンテスト/二〇一五年度優勝、田島氏の寄り添
う接客術/
 入社直後に破綻、どん底で出合った転機/JALフィロソフィからの気づきと楽しさ/
 先輩スタッフをロールモデルに/乗客につなぐ、感謝カードのバトンタッチ

■第二章 「答えを教えない」客室訓練
 厳しい訓練を経て国内線、そして国際線へ/あなたなら、どうしますか/
 破綻を機にカリキュラムを全面改訂/和食希望の乗客に「イエスの発想」で機転

■第三章 新たな機内食への挑戦
 「機内食然とした機内食」脱却への模索/モスフード社長に直談判/
 タマネギの切り方、一ミリ単位で侃々諤々/逆転の発想「乗客が盛り付け」/
 機内食に本格ラーメン、複数の工夫で実現/刺身と生卵、二人三脚で細菌対策のノウハウ確立/
 目指すは「JALブランドの食事」の確立

≪第7部≫IoT、VR… 最新技術で未来の仕事を実現
 タブレットが客室乗務員の頼れる「右腕」に/タブレットのカメラで機内の不具合
を報告/
「IT目利き」が挑む働き方改革/新しい技術も積極的に実験/
 原寸大のバーチャル操縦席で訓練/会議室に実物大のエンジンが出現/
 接客訓練や機内貸し出しの案も/乗客向けアプリに、旅の「ワクワク感」を実装/
 ニーズに応えた「富士山どっち?」で利用急増
 IT活用の土台、フィロソフィが支える 石関 佳志 常務執行役員

≪第8部≫植木義晴社長が語る「稲盛さんに褒められた二つの誇り」

≪第9部≫JAL再生への思い、航空業界のこれから… 稲盛和夫名誉顧問に聞く

金子 寛人[カネコヒロト]

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

majimakira

12
構造改革だけでなく、意識改革。稲盛イズムもさることながら、その徹底的な意識改革で一人ひとりのインテグリティを高めたことが今のJALを造ったのだとわかる。破綻前の2009年に四国旅行で利用した際、とある地上スタッフのサービスや表情のひどさにがっかりした。時を経て昨年、出張を切っ掛けに利用が急増し、今では大好きな航空会社であり、仕事でもプライベートでも、できる限り多くJALに乗りたい、とまで思う。その気持ちの所以が、本書を読んでよく理解できた。再生の軌跡を様々な角度から丁寧に取材して記録された良書だ。2017/06/03

よー

7
社長が「会社の最高の財産は社員」と謳ってくれたら、社員はやる気が出ます。数字を出し、人を育てること。これからもずっと課題です。2017/06/02

くりりんワイン漬け

7
機材は必ず陳腐化する、人は経営者による強烈な意識改革により必ず価値が育まれる。2017/04/06

Sean

4
部門採算性、調達部門の働き方改革、女性労働推進の取り組み。大勢の人間を適切に会社の経営改善・サービスの改善へ向かわせたのは稲森会長の手腕と言える。(JALの社員が京セラフィロソフィーを自分ごととして理解できるようにもしたとのこと) 熊本地震の余震への対応は部門を超えて実施できており、『アフターデジタル』で示唆された高品質なサービス提供を実現したと感じる。乗客目線でやむを得ないときは現場の判断で、『人間として何が正しいかで判断する』という運用指針があるらしい。これはJALの均質性のなせる技だと思う。2020/07/12

こうじ

4
良い本だと思いました。JALの再建のことだけではなく、航空業界についても、へーと思うことがあって、面白かったです。機内食の開発の話とか、なかなか興味深く読めました。また、久々にJALに乗ってみようかなと思ったりしました。2018/04/30

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