不正の迷宮三菱自動車―スリーダイヤ転落の20年

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不正の迷宮三菱自動車―スリーダイヤ転落の20年

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  • サイズ B6判/ページ数 295p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784822236670
  • NDC分類 537.09
  • Cコード C0034

出版社内容情報

三菱自動車の燃費改ざんはなぜ起きたのか。そして、三菱自動車ではなぜ何度も不正が繰り返されるのか──。
三菱自動車の燃費改ざんはなぜ起きたのか。そして、三菱自動車ではなぜ何度も不正が繰り返されるのか──。
「日経ビジネス」「日経オートモーティブ」」「日経トレンディ」など日経BP社の各媒体の総力を集めて燃費不正問題を検証した。

軽自動車4モデルで発覚した不正は、三菱自動車の運命と自動車産業のあり方を大きく揺さぶった。危機的状況に陥った三菱自動車を、
日産自動車が傘下に入れて救済。スズキでも燃費に関する不正が発覚し、国の制度が見直されるなど「パンドラの箱」を開けた。
不正の原因を探ると、そこには絶望の縁に立たされた開発現場の姿があった。ダイハツ工業やスズキとの燃費競争に勝とうと、目標は5度も引き上げられた。
現場の「無理だ」との声は経営陣には届かない。走行試験などを担当する技術者は追いつめられ、不正に手を染めた。
データを改ざんするための専用ソフトウェアまで開発され、不正の手口は代々引き継がれていった。

開発現場だけの問題ではない。三菱自動車はこの20年近く、経営の混乱が続いてきた。リコール隠しなどの不祥事もあり、株主や経営者が次々に変わった。
技術者や次々に会社を去り、競争力は低下していった。経営が迷走すれば現場はモチベーションを落とし、それが不正の温床となる。
本書が紹介する三菱自動車の「転落の歴史」は、そうした事実を改めて教えてくれる。


【第1章】 不正のメカニズム
 ◆無謀が生んだ絶望
 突然の記者会見/燃費目標を5回引き上げ/「品質の関所」機能せず/経営陣は「知らなかった」のか/本社と現場の深い溝/
 追い詰められた子会社/益子会長は指示をしたのか/動機は「面倒だった」/虚偽資料作成を「引き継ぎ」/
 社外取締役の怒り/販売店と工場城下町の苦境/ついに現れた益子会長/相川社長が辞任表明/国交省のジレンマ/総会前に「幕引き」
 ◆開いたパンドラの箱
 実走行を重視する制度へ/スズキと三菱自動車、不正の共通項/鈴木修会長依存で「ぶら下がり」体質に
 Column 10年以上前から現場が知っていた「不正の根源」
 Column ユーザーへの補償額「1台10万円」は妥当か
 ◆from Nikkei Automotive
 自動車メーカーOBが斬る燃費不正―和田憲一郎氏・貴島孝雄氏・藤村俊夫氏
 5回の目標変更が命取りに(日経オートモーティブ 2016年9月号)
 不正を許す風土が蔓延していたかも/あまりにもいい加減な目標設定/フォードの教えが息づくマツダ/管理とフォローを徹底するトヨタ
 ◆技術者592人アンケート 8割が「不正は起こり得る」(日経オートモーティブ 2016年9月号)
 言えない理由は有言・無言の圧力/無理な要求に「できない」と言えない理由/開発期間短縮と案件増大で多忙化/
 環境・安全への対応が負担に/多くが望む上層部による現場の把握/技術者を追い詰めすぎない環境を/追い込まれると不正に走る

【第2章】 日産、電光石火の救済
 ◆凍りつく三菱グループ
 薄れた救済の必要性/三菱重工出身者が「王族」/「重荷」の押し付け合い/消えた相川会長、白地社長案
 ◆スリーダイヤの値段
 スリーダイヤの商標を使うため/ダイムラーとの資本提携で作られた例外/「日産さんに計測技術がないんじゃないですか」/
 日産と三菱自動車の明暗/2370億円出資の皮算用「底値」で取得株価を算出/東南アジア強化で北米依存のリスクヘッジ/
 プラグイン・ハイブリッドの技術を狙う/自動運転分野でもシナジー/「1000万台」クラブの仲間入り/
 90年代は「400万台クラブ」/電動化が生む新たな産業構造/「つながる車」で始まるITとの協業/「提携失敗」の連鎖を止められるか
 Column 国境を越え飛び交う技術と資本
 ◆from NIKKEI TRENDY
 カタログ燃費はどこまで信じられる?
 軽自動車4モデルを実走テスト実燃費は三菱自動車が最下位に(日経トレンディ 2016年8月号)
 カタログ燃費をかさ上げ/実燃費はカタログ燃費の6?7割/4モデルで走行実験/上り坂に弱い三菱自動車/アイドリングストップにも性能差

【第3章】 迷走と凋落の20年
 ◆「パジェロバブル」の傷跡―1998年?
 「戦略なき開発が招いたヒット車不在」(1998年4月27日号) RV先行で生まれた技術陣の過信
 「ボルボ提携で苦渋の決断、取り残された乗用車部門」(1999年10月18日号)
 ◆ダイムラーに命運託す―2000年?
 「ダイムラーと提携。経営の自主権は風前の灯火」(2000年4月3日号) 収益回復なければ切り売りも
 「試される新経営体制と新たな再生計画」(2001年4月30日号)
 「もう不振の販社を救済はしない」。園部は静かに言い切った/「園部社長はよく決断した」。河添は顧問制廃止を評価する/
 「シナジー効果を得られるように」槙原はシュレンプに呼びかける
 「ダイムラーと三菱グループが新たな金融支援へ」(2004年1月26日号) 意見割れる三菱グループ
 「トラック脱輪、リコール隠しの教訓生きず」(2004年3月22日号)
 ◆三菱グループの庇護へ―2004年?
 「三菱グループの呪縛 自立心なき自動車メーカーに危機」(2004年5月3日号)
 スリーダイヤの矜持を優先/反動招いた自主独立路線/リーダー不在及び腰の再建/
 新車開発でクライスラー救済/「情報の抱え込み強まる」
 「資金集め優先し強気の再建策」(2004年5月31日号)
 日本・北米で負の遺産の余波続く/開発力ダイムラー頼みで技術停滞/
 「三菱版再生機構」の強面たち/商事が出す20人の「やり手」
 “新リコール隠し”表面化で再建に暗雲(2004年6月14日号)
 「戦犯OB守って現役は涙。人災経営の清算いまだ成らず」(2004年6月28日号) 「黙って従うのが企業文化」
 「ダイムラーの試算『再建に7000億円必要』が的中」(2004年12月6日号)
 東京三菱は独自に資産査定/すれ違う“親たち”の思惑
 「最後の財閥 三菱の聖戦」(2005年3月21日号)
 国内の黒字化は難しい/銀行が専門家チームを起用/議論は紛糾、翌日まで続く/
 3つの条件は再生計画に/午後3時、2つの本社間を移動/「アジアの帝王」と呼ばれた男/三菱流再建は続けられるか
 ◆再生への険路―2005年?
 アジア依存で増益できるか(2006年3月20日号) 販売会社の半分は赤字
 電気自動車は窮地を救えるか(2009年9月7日号)
 2回も開発中断の危機に/生産担当者の半分が消える/64件の改善でスピードアップ/EVを集客の目玉に/
 暗闇を照らす“松明”の役割/逆境でも実現可能な再建策が必要
 復配阻む品質問題(2013年4月8日)
 「名より実」で生き残る(2014年12月15日号) 研究開発費はトヨタの4%/車種を1桁台にまで減らす

【第4章】 歴代トップの証言 なぜ変われなかったのか
 中村裕一氏(相談役、元社長) 「RVで敗北、国内販売不振が元凶」(2001年4月30日号)
 河添克彦氏(相談役・前社長) 「不要な事業から撤退する勇気なかった」(2001年4月30日号)
 ロルフ・エクロート氏(社長) 「技術主導を変え、透明性高める」 (2002年7月22日号)
 岡?洋一郎氏(会長兼CEO) 「親不孝から『孝行息子』に」(2004年7月26日号)
 相川哲郎氏(常務執行役員) 「三菱自動車のクルマは私が変える」(2004年8月2日号)
 西岡喬氏(三菱重工業会長、三菱自動車会長兼CEO)「自動車再建、責任は自分に」(2005年3月21日号)
 三木繁光氏(東京三菱銀行会長) 「合理性あっての支援だ」(2005年3月21日号)
 益子修氏(社長) 「悔しさバネに社員前進」(2006年3月20日号)
 益子修氏(会長兼CEO) 「拡大路線には戻らない」(2014年12月15日号)
 ◆from Nikkei Monozukuri
 相川哲郎氏(社長兼COO) 「風土改革、技術者たちを鼓舞」(日経ものづくり 2015年8月号)


日経ビジネス[ニッケイビジネス]

日経オートモーティブ[ニッケイオートモーティブ]

日経トレンディ[ニッケイトレンディ]

内容説明

無謀な目標、開発現場の絶望。燃費改竄は起こるべくして起きた。

目次

第1章 不正のメカニズム(無謀が生んだ絶望;開いたパンドラの箱 ほか)
第2章 日産、電光石火の救済(凍りつく三菱グループ;スリーダイヤの値段 ほか)
第3章 迷走と凋落の20年(「パジェロバブル」の傷跡―1998年~;ダイムラーに命運託す―2000年~)
第4章 歴代トップの証言 なぜ変われなかったのか(中村裕一氏(相談役、元社長)「RVで敗北、国内販売不振が元凶」(2001年4月30日号)
河添克彦氏(相談役・前社長)「不要な事業から撤退する勇気なかった」(2001年4月30日号) ほか)

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mitei

219
まさにタイトルの通り不正の迷宮だった。再発防止策を取ったといってもまた新たな問題が発覚したり、リコールしたりとどうしようもない会社だなと思える。日産の傘下には入った続きもよみたい。個人的にはアウトランダーとかエクリプス、デリカとか個性的ないい車があるイメージはあるので頑張ってほしいな。2021/03/14

ぶ~よん

77
かつてパジェロで一世を風靡したスリーダイヤの凋落を記した本。読めば読むほど、大企業にありがちな泥沼に嵌っていったことが分かる。不正に至った経緯は笑い事ではなく、どこの企業にも起こり得る。そこにあったのは、現場の声を聞かない経営者と、上に物を言えない社員達。風通しの良い会社作りは、言うは易し。本書で対比の成功例とされている日産、カルロス・ゴーンだって、当時の隣の芝生は青く見えましたという話。ものづくりに携わっている人達の目線は、消費者に向いているのか。他に目が向いた瞬間、不正という誘惑に負けることになる。2024/12/17

conegi

6
三菱車の購入を検討中ということもあり、手にとってみた。過去の日経の三菱不祥事に関する記事を再掲した形で、独自の検証や総括があるわけではない。本としての評価はちょっと。 それでも当時の変遷がわかり、三菱自動車という会社の世間からの評価の移り変わりを追うことができた。不祥事の構造は単純ではないが、あえて一言に集約すると風通しの悪い縦割り構造になるように感じた。PHEVやデリカ、ekクロスEVなど、独自性の高い魅力的な車が増えてきた今、是非とも三菱自動車には二度と不祥事を起こさないように頑張っていただきたい。2023/09/10

いいちゃん07

4
私はクルマ好きです。三菱車もいつか乗りたいクルマです。特にランエボ4。 その会社の問題を論じています。 燃費性能偽装、度重なるリコール、膨大な負債。 そもそもの燃費性能競争に違和感がありましたが、「評価がめんどくさい」「上に叱られる」という理屈で偽装していたとしたら真面目にクルマ開発している人達は怒ります。 各メーカの実燃費性能が記載されているので、実燃費を知りたい方には一定の参考になります。2017/03/01

Abiko Eiichi

4
燃費不正で窮地に陥った三菱自動車。過去に何度もユーザーを裏切る不正とその度ごとに経営陣を変えてきた。それでもまた不正が起きた。本書ではその根本は20年前から変わらないと看破します。既に20年前に企業の体を成してなかったにも関わらず、 三菱グループの一員という理由で延命された結果、裏切られたのはまたユーザーだったのです。ユーザーの方を見なかった結果が自滅を招くことはメーカーに限ったことではありません。彼らが犯した失敗を繰り返さないために本書の内容を他山の石とすべきです。2016/10/29

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