東芝粉飾の原点―内部告発が暴いた闇

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東芝粉飾の原点―内部告発が暴いた闇

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  • サイズ B6判/ページ数 320p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784822236618
  • NDC分類 542.09
  • Cコード C0034

出版社内容情報

何がトップを隠蔽に駆り立てたのか
原発子会社の赤字隠しをスクープした「日経ビジネス」の記者が明らかにする不正の構図何がトップを隠蔽に駆り立てたのか
米原発子会社の赤字隠しをスクープした
「日経ビジネス」の記者が徹底取材で明らかにする不正会計の構図

「時間がないんだよ。今月はどうするの。160に対する施策を出してくれ」
「施策が出せないなら(社内カンパニーの)社長に直接そう言えよ、アンタがやるって言ったんだから。あと1週間で160を積むって約束したでしょ。ふざけてるのか」……

上司の厳しい叱責が続く会議の様子。これは、雑誌「日経ビジネス」に持ち込まれたICレコーダーに録音されていた音声だ。ほかにも800人以上の東芝の現役社員やOBらの関係者から多くの情報が寄せられた。
本書は、これらの内部情報と取材班の徹底取材をもとに、なぜ、東芝が不正会計に手を染めることになったのか、その根本的な原因に斬り込む。
東芝は、真の意味で「新生」したと言い切れるのだろうか。
企業の“けじめ”のつけ方を問う。

【 序章 】 こじ開けたパンドラの箱
 午後3時のスクープ
 土俵際に追い込まれた東芝
 不適切会計ではない、「粉飾決算」だ
 集まった800人の肉声
 
【第1章】 不正の根源、パワハラ地獄
 録音されていた“地獄”の会議
 上から下へパワハラの連鎖
 駆け込んだ一人の社員
 担ぎ出された室町正志
 イラン現法から上り詰めた西田厚聰
 6000億円を投じたウエスチングハウス
 パソコン部門に「チャレンジ」要求
 3日で120億円の利益改善を求める
 大声でガラスが震えるほどだった
 原発事故後も強気の見通し
 会長が社長を公然と批判
 “打ち出の小槌”としてバイセルを利用
 「これは決して脅かしではありません」
 子会社でも経営幹部がパワハラ
 関係会社にも東芝流を強要

【第2章】 まやかしの第三者委員会
 “聖域”に踏み込ませるな
 社会インフラ部門以外でも疑惑が発覚
 過去の決算訂正が不可避に
 決算延期、株価暴落、深夜の開示
 「第三者」と言い切れない委員会メンバー
 予見された「生ぬるい調査」
 第三者委への委嘱事項を「すり合わせ」
 ウエスチングハウス減損を“黙殺”
 有報提出2カ月延期、2段階の株主総会
 1562億円の水増し、歴代3社長辞任
 リークを連発して情報操作
 第三者委4人、最初で最後の記者会見
 報告書に載っていない問題の深層

【第3章】 引き継がれた旧体制
 「指示していない」と主張した田中
 「名前がない」から社長になった室町
 浮き彫りとなった権力構造
 機能しなかった社外取締役
 相談役がリクルート活動、続く長老支配
 辞任後も闊歩する歴代3社長
 不正会計時のCFOが復権
 決算再延期という崖っぷち
 「記名式」アンケートに高まる会社への不信
 鮮明になる事業の劣化
 登場した新たな役者

【第4章】 社員が明かす不正の手口
 第三者委が見逃した闇
 引当金を悪用して利益操作
 不正を隠し、携帯電話事業を売却
 原価を付け替え、不振の半導体を延命
 赤字事業をカバーした四日市工場
 性能データも「粉飾」
 テレビでもあったデータ隠蔽
 競合も疑ったスマートメーター
 受注時に赤字リスクを認識
 取引先に支払い先延ばしを要求
 CFOが監査委員長に横滑り

【第5章】 原点はウエスチングハウス
 「減損テスト」についてしかれた箝口令
 「のれん」「減損」とは何か
 原子力ルネサンスに踊った西田
 39基受注を目指す強気の計画
 東日本大震災で安全神話が崩壊
 「EYが暴れていて、手を焼いています」
 東芝連結での減損回避に注力
 予算達成に向けて「チャレンジ」
 監査法人に契約打ち切りを示唆
 「可能性はある」と言わせろ
 減損テストの第1段階クリアできず
 非常事態で「屁理屈を考えろ」という指令

【第6章】 減損を回避したトリック
 チャレンジの背景に「財務制限条項」
 年利7・5%、「懲罰的」な劣後債
 累積赤字でも「好調」と主張
 取材依頼に応じなかった首脳陣
 なお隠蔽された赤字の実態
 「親」と「子」で異なる減損テスト基準
 監査法人が与えた「ヒント」
 減損を「認識していなかった」
 原発幹部すら疑う「64基計画」
 減損回避のために収益を“逆算”

【第7章】 歴代3社長提訴の欺瞞
 3人の取締役再任に「反対票」を
 「土光さんの墓前で土下座しろ」
 歴代役員98人の責任を調査
 一度の聞き取りで訴訟を決定
 役員提訴の説明を部下に丸投げ
 旧経営陣5人の「善管注意義務違反」を認定
 不正会計は「会社経営の一環」
 14人の関与者のうち、9人を免責
 全111ページ、室町は登場せず
 全国で上がる訴訟の火の手

【第8章】 「著しく不当」だった監査法人
 「宇宙遊泳」で破綻したカネボウ
 「5人以外に法的責任はない」
 「3億円」訴訟が「32億円」に拡張
 「職業的懐疑心」が不十分と断罪
 背景にあった見積もり増加と人手不足
 東芝担当は「出世が早い」
 新日本で出された「合コン禁止令」
 東芝が選んだ「PwCあらた」

【第9章】 迫る債務超過、激化するリストラ
 「あなたの活躍の場はありません」
 加速する全社リストラ
 フラッシュメモリーに全社が依存
 稼ぎ頭を蝕むスマホの過当競争
 動きだしたパソコン3社統合構想
 官主導の白物家電「ドミノ再編」
 5500億円の赤字、1万人リストラ発表
 虎の子の医療機器を売却
 赤字予想がさらに拡大、債務超過寸前に
 焦るキヤノンが東芝を救う
 富士フイルムが突きつけた質問状
 「極めてトリッキー」な売却手法
 白物家電は中国大手の傘下に
 次世代半導体に8600億円投資
 異例の減損テスト「やり直し」

【第10章】 視界不良の「新生」東芝
 財務悪化で2476億円減損
 減損できる余裕を与えたキヤノン
 減損後も揺るがぬ事業計画
 建設スケジュールは3年遅れ
 フラッシュメモリー急減速、稼ぎ頭が交代
 「ホワイト」社長と「グレー」会長
 改めて“聖域”となった原子力
 成長を縛る脆弱な財務
 新たに58億円の不正が発覚
 米当局も不正会計を調査
 東芝は「新生」したのか

 ◎東芝の沿革と不正会計の経緯

小笠原 啓[オガサワラ サトシ]

内容説明

何がトップを隠蔽に駆り立てたのか。原発子会社の赤字隠しをスクープした「日経ビジネス」の記者が、徹底取材で明らかにする不正会計の構図。

目次

序章 こじ開けたパンドラの箱
第1章 不正の根源、パワハラ地獄
第2章 まやかしの第三者委員会
第3章 引き継がれた旧体制
第4章 社員が明かす不正の手口
第5章 原点はウエスチングハウス
第6章 減損を回避したトリック
第7章 歴代3社長提訴の欺瞞
第8章 「著しく不当」だった監査法人
第9章 迫る債務超過、激化するリストラ
第10章 視界不良の「新生」東芝

著者等紹介

小笠原啓[オガサワラサトシ]
1976年生まれ。1998年早稲田大学政治経済学部卒業、同年日経BP社入社。雑誌「日経ネットナビ」、「日経ビジネス」、「日経コンピュータ」などを経て、2014年9月から日経ビジネス記者。電機業界を中心に取材を進める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

110
東芝というのは私の友人もかなり入社していて、昔からおっとりしている会社だといわれていたのがこのようなざまになっているのを読むにつけ、組織あるいはトップがどのような方向性をもっていくかなのでしょうね。こんなにひどい会社というのはない感じです。監査法人も腐っていますね。ただ記者がこれだけ書いてもつぶさないというのはどうしてなのでしょう。影響が大きいということなのでしょうか?中小企業などはすぐに粉飾を行うと社長などが逮捕されたりするのに、と思います。日航でさえつぶして今はまたよくなっているのですから。2017/09/04

えちぜんや よーた

78
会計や法務の専門的な内容が多く、ほとんど分からないから飛ばし読み。ただ、ところどころ出てくる関係者の証言を読んでいると、経営幹部から末端社員までひとつの会社に定年まで(場合によっては定年以降も)とどまるのが当然と考えている意識が、完全に裏目に出ているように感じた。2016/09/11

ネコ虎

18
組織ぐるみの不正だが、余りにも多くの経営幹部が関わっているので、全く反省もないし、膿を出そうという意気込みが感じられない。現場社員が可哀そうだ。癌は西田元社長だ。経営能力も無いのに剛腕で、面子だけを気にする最低のタイプだ。この男が伝統のある東芝を腐臭に満ちた組織に追いやった。あとの経営幹部は烏合の衆。会社や社員より自分だけが可愛いし、上司に気に入られたいだけの下司野郎たちだ。不正・粉飾のオンパレードだが、悪いことをしているという意識は皆無で、景気がよくなれば元に戻ると他人まかせ。日本の旧軍を思わせる。2017/08/30

坂本新

18
非常に面白い。読み物としては全く魅力的ではないが、資料としては最高級の面白さである。物語ではなく、実際に起こった事件の記録として、これは本当に全会社員に読んでほしい。なんなら高校や大学の教科書として、なぜ不正が起こるのか、どうして不正や犯罪はいけないことなのかということを学ぶ教材にしてほしい。それぐらい素晴らしかった。任期数年の社長が、自分の任期のことだけを考えて不正に手を染めていく流れは、考えてみれば当然起こりうることなので、この事件は誰にとっても他人ごとではないはずなのだ。2016/07/27

BLACK無糖好き

17
リーマンショックで巨額の赤字に陥り財務制限条項に抵触する危機を金融機関に泣きついてチャラにしてもらった手前、子会社の減損で再び財務制限条項に抵触する事態はどんな手段を使ってでも回避したいとの意識が働くのは分からんでもない。たいてい子会社の減損認識はCPAと企業の間でホットな議論が展開されるが、東芝の駆使した力技には苦笑を禁じ得ない。社外取締役を増員しガバナンス強化を図るとあったが、子会社の減損が取締役会の議題に上がっていなかったとの証言には天を仰ぐしかない。人間の自己防衛本能が凝縮された一冊。 2016/10/10

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