感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スターライト
7
佐藤清明という名前自体知る人は少ないかもしれないが、サブカル好きな人には初めて「妖怪辞典」を作った人として知られているらしい。岡山・里庄町出身の佐藤の経歴を、佐藤清明資料保存会のメンバーらが分担して執筆。ほぼ博物学者としての佐藤清明が語られる。柳田国男や南方熊楠らとも交流を持つが、地方を地盤とした研究・普及活動を目指す佐藤は、やがて柳田とは疎遠になったらしい。また組織力も卓越していて、自ら様々な団体を立ち上げ、植物・博物学への貢献が窺える内容となっている。2022/04/08
∃.狂茶党
6
岡山県の博物学者の伝記と、日本初の妖怪辞典復刻。 全く知らない方ですが、教職の傍ら、たくさんの資料を集めるとともに、環境保護もおこなうなど、南方熊楠の影響が強い方。 元々は柳田國男門下である。 『現行全国妖怪辞典』は全国といいつつ、地域の偏りが大きいですし、聞き取った資料などが失われ、索引的編纂の字引のみが残った状態であるものの、水木しげるとメディアによって均一化された妖怪のイメージとはずれのある、口碑の世界を伝え大変貴重ですし、好奇心、想像力をくすぐられます。 2022/02/04
志村真幸
1
佐藤清明(1905-98)は岡山県で活躍した博物学者・教育者。 本書は、佐藤清明資料保存会による本で、会のメンバーの22人によって執筆されている。佐藤は戦前の方言・民俗学研究では柳田国男や南方熊楠とも関わり、やがて傾倒していく植物学では牧野富太郎と交わったほか、岡山の天然記念物の調査・指定にも尽力した。 それらの諸側面が、多数の図や写真とともに手際よく紹介され、佐藤の人物と業績の全体像をうかがうことができる。 附録の「現行全国妖怪辞典」とは、1935年に中国民俗学界から刊行されたものの翻刻。2021/12/24