内容説明
寺山修司の第一作品集『われに五月を』の初版本を底本に、平仮名は底本の通りに、旧漢字は新漢字に改めた。内容は、俳句、短歌、詩、散文詩、日記風散文の五ジャンルにわたり、俳句が「燃ゆる頬」「鳥影」「雉子の詩」、短歌が「森番」「真夏の死」「祖国喪失」、詩が、「楔形文字」「三つのソネット」「かずこについて」に分けられている。俳句九一、短歌一一二、詩一八(「序詞」を含む)、散文詩二を収める。
感想・レビュー
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匠
130
寺山修司の10代の頃の作品集と言ってしまって良いと思う。俳句、短歌、詩、散文詩、日記風散文の五ジャンルに分かれているが、どれもみずみずしさを感じる。そして彼の原点はここなんだなあと、作品のあちこちで感じさせてもらえるのが、なんだか嬉しい。まさに若葉が生い茂る5月の雰囲気。しかも5月4日は寺山氏の命日。5月に不思議な縁を感じる人である。俳句91句、短歌112首、詩が18篇、散文詩2篇。ピュアでストイックな彼の青春がここに収録されている。2014/07/10
吉田あや
66
『きらめく季節に たれがあの帆を歌ったか つかのまの僕に 過ぎてゆく時よ』俳句や短歌を含む寺山の詩や、散文詩、書簡を含む日記など、まだ自意識の堅牢な檻の中で反抗と情熱を滾らせていた少年時代、死と直面した病床から回復し20歳を迎えたことで「生活を知覚できずに感傷していた」僕への別れを告げ、新たな出発をした寺山の光と再生の五月。歌をやめ、愛を捨て、戦争で失われゆく友の青春の日々に祖国とは何だと、友の優しさに想いを馳せる詩も多く、前衛的な思想とロマンチシズムの摩擦が心に衝動を揺り戻してくれる。(⇒)2021/05/14
バトルランナ-
12
さっぱり、分からんかった。(涙)5点満点で2点。2014/06/16
ぐっちー
11
寺山修司、十代の作品たち。青葉が濃くなり、命が益々燃える季節に。息苦しい程に彼の青い果実は青いままで熟しゆく。苦悩や生きにくさを感傷的にちりばめながら、底には冴え冴えとした眼差しや若さゆえの潔癖な固さを感じる。2014/05/18
ひらちゃん
10
10代の頃の作品集。「5月に咲いた花だったのに散ったのも5月でした。母」。若葉の季節、みずみずしく、そして力強い5月のイメージにぴったり。きらめく季節を駆け抜けた風のような印象です。他の作品にも触れてみたい。2015/07/26