出版社内容情報
☆底本:「社会問題叢書」(1925~1926年、文化学会出版部)
☆戦前期の労働・婦人・農村・人口など、さまざまな社会問題の実態と研究を知る基礎資料。
特色
*戦前期の社会問題の実態と研究を論じた「社会問題叢書」全10巻(1924~1925年、文化学会出版部)を復刻。さまざまなテーマの社会問題を論じた利用価値の高い文献!
*初めて社会問題に取り組む人々が理解しやすいように、専門的なテーマを平易な文体で解説。また研究者をはじめとする専門家に、緻密な知識を提供する。
*堺利彦・山川菊栄・中澤弁次郎ら当代一流の専門家と気鋭の執筆陣が結集して成る確かなテキスト!
*小社刊「社会政策大系〈復刻版〉」(全10巻)とあわせて利用でき、社会問題の研究と理解に役立つ。
収録内容
①現代社会生活の不安と疑問 堺利彦
②労農露西亜の労働 山川均
③日本労働運動発達史 赤松克麿
④無産階級の世界史 上田茂樹
⑤産児制限の理論と実際 安部磯雄・馬島僴
⑥資本主義と戦争 松下芳男
⑦自由恋愛と社会主義 守田有秋
⑧婦人問題と婦人運動 山川菊栄
⑨インタナショナル発達史 浅野研眞
⑩資本主義と農村問題 中澤弁次郎
筆者紹介
堺利彦(さかいとしひこ) 1871~1933
福岡県生まれ。社会主義者。「万朝報」を経て1903年に幸徳秋水と「平民新聞」を興す。また1910年に売文社を設立。共産党創立に参加、後に無産党運動に加わる。1929年から東京市会議員を務めた。
山川均(やまかわひとし) 1880~1958
岡山県生まれ。社会主義者。同志社大中退。「日刊平民新聞」編集に携わる。共産党設立に参加、多数の論文を執筆し社会運動に影響を与える。著書に「社会主義者の社会観」(1919)「労働者政党のために」(1949)など。
赤松克麿(あかまつかつまろ) 1894~1955
山口県生まれ。社会運動家、政治家。東京帝大卒。共産党入党後、転向。社会民衆党、日本国家社会党を結成。大政翼賛会で企画部長に就任し、戦後公職追放された。著書に「東洋への郷愁」(1953年)、「日本社会運動史」(1952年)など。
上田茂樹(うえだしげき) 1900~?
北海道生まれ。社会運動家。「前衛」の編集に携わる。共産党結成に参加、3・15事件など度重なる検挙の中で闘争を続けた。その後、中央委員として地下活動に入り、1932年の逮捕後には消息不明。
安部磯雄(あべいそお) 1865~1949
福岡県生まれ。社会運動家。1901年に幸徳秋水・片山潜らと社会民主党を、戦後は日本社会党結成に尽力した。早大教授を務め、廃娼運動、禁酒運動や産児制限運動家としても知られる。著書に「土地国有論」(1924)など。
馬島 (まじまゆたか) 1893~1969
愛知県生まれ。医師、社会運動家。賀川豊彦に共鳴し、神戸で医療救済活動をする。欧米後を経て日本産児調節連盟を結成。東京に労働者診療所を開設して社会運動を側面から支援した。著書に「現代の性典」(1951)「産児調節の方法」(1952)など。
松下芳男(まつしたよしお) 1892~1983
新潟県生まれ。軍制史研究家。陸軍士官学校、日大法文学部卒。陸軍教育史を編纂。著書の「明治軍制史論」(1956年)は、日本軍制の実証研究として先駆的とされる。ほかに「明治の軍隊」(1963年)「徴兵令制定史」(1981年)など。
守田有秋(もりたゆうしゅう) 1882~1954
岡山県生まれ。評論家。本名は文治。東京専門学校(現・早大)中退。1933年に山川均と「青年の福音」を創刊。のち、東京二六新聞の記者になる。著書に「自然と人」(1919)「木のはのささやき」など。
山川菊栄(やまかわきくえ) 1890~1980
東京都生まれ。女性運動家、評論家。1921年、日本初の社会主義婦人団体赤 会を結成。戦後は労働省婦人少年局初代局長に就任、婦人行政の基礎づくりに尽力する。著書に「無産者運動と婦人の問題」(1928年)「覚書幕末の水戸藩」(1974年)など。
浅野研眞(あさのけんしん) 1898~1939
愛知県生まれ。教育運動家、仏教学者。フランス留学後、プロレタリア教育運動を推進。また友松円諦らと仏教法政経済研究所を設立、仏教の社会史的研究を行った。著書に「社会現象としての宗教」「日本仏教社会事業史」(1934)など。
中澤弁次郎(なかざわべんじろう) 1891~1945
埼玉県生まれ。農民運動家。本名は弁治郎。雑誌記者や読売新聞記者を経て、1928年全日本農民組合会長に就任、右派農民運動を進めた。著書に「農村問題講話」(1930)「日本米価変動史」(1933)など。