出版社内容情報
解説
小尾俊人
体裁
A5判・上製・総約4,000頁
特長
○愛山史論の中でも特に評価の高い、人物論の主要著作を初めて集成。
○集成・復刻にあたり解説を新たに付し、愛山の人と思想を紹介。
○現在入手が難しい貴重書籍を多数収録した、研究に必読の選集。
「英雄は時代を作り、時代は英雄を作る」
山路愛山の優れた史眼と筆力により、歴史を担った偉人たちの姿が鮮やかに甦る!
山路愛山(やまじあいざん)
略歴
1864‐1917
史論家、評論家。
江戸浅草に幕臣の子として生まれる。
キリスト教に入信し、東洋英和学校に学ぶ。
明治24年メソジスト三教派の機関紙「護教」を創刊、その主筆となる。
翌年、徳富蘇峰の知遇を得て民友社に入り、「国民之友」「国民新聞」に独自の史論、文学論を次々に発表、北村透谷との<人生相渉論争>をはじめ高山樗牛との古代史論を巡る論争などを通じて、在野の史論家として地歩を固めた。
明治33年、信濃毎日新聞主筆。
のち「独立評論」「国民雑誌」を発行し、国家社会主義を提唱した。
晩年は「日本人民史」の完成に取り組んだ。
自らを平民史家と称し、伝記、史論、文学史、漢学等その著作は多岐にわたるが、中でも人物論に秀で、「豊太閤」「徳川家康」などの代表作がある。
内容
第1巻
源頼朝
東北の日本と西南の日本/諸国住人とは何ぞや/源氏の勃興/源平両立の時代/保元の乱/平氏の滅亡/政治家としての源頼朝/源頼朝は如何なる人ぞ 他
(底本=玄黄杜・明治42年8月6日再版)
第2巻
足利尊氏
北條氏の執政及び其時代/京都に於ける陰謀の露顕/足利氏革命の舞台に上る/延元元年後醍醐天皇吉野遷幸より尊氏の死に至るまで 他
(底本=玄黄社・明治42年3月20日4版)
第3巻
豊太閤 前編
英雄教の洗礼/太閤出生の地/秀吉の親族一門/織田氏と今川氏/足軽時代の秀吉/信長に対する反動の時代/信長論/豊臣徳川対局/南海西海討平の・記 他
(底本=「豊太閤」文泉堂書房/服部書店・明治41年11月9日初版)
第4巻
豊太閤 後編
関白職の事/北條氏対豊臣氏/徳川家の移封/所謂太閤検地の事/豊臣秀次の位置の事/秀次の殺されし事/再度の征韓役/晩年の豊太閤/石田三成論/淀君論 他
(底本=「後編豊太閤」文泉堂書房/服部書店・明治42年4月22日初版)
第5巻
徳川家康
徳川氏の起りの事、清康の事/少年時代の家康/家康、信長の同盟/三河の統一/信玄と家康/天下漸く一統の運に向ふ/時世の子織田信長/家康秀吉の講和/関原戦争/豊臣氏の滅亡/家康論 他
(底本=独立評論社・大正4年9月18日再版)
第6巻
荻生徂徠
彼れは如何なる人ぞや/彼れは何を知れりや/彼れは何を為せしや/再ひ徂徠を論ず
(底本=民友杜・明治26年11月28日3版)
第7巻
新井白石
詩人としての新井君美/政治家としての新井君美/歴史家としての新井君美/吾人をして回顧せしめよ
(底本=民友社・明治27年12月10日初版)
第8巻
佐久間象山
少年時代/第一回遊学時代/在郷中時勢の変化/再度の遊学/帰郷/第三回の出府/在国蟄居中の象山/非命に斃る
(底本=東亜堂書房・明治44年9月15日3版)
第9巻
勝海舟
勝家の家系と海舟先生の血統/西洋兵学家としての海舟先生/長崎練習所時代の海舟先生/海軍防備計画/幕府の長州征討計画/将軍政権返上の議/江戸開城の顛末 他
(底本=東亜堂書房・明治44年10月30日4版)
第10巻
西郷隆盛
代表的人物としての西郷隆盛/武士社会衰亡論/七十年間の徳川政治史/薩藩近世史と西郷隆盛の幼時/少年時代の西郷隆盛及び彼を感化したる時代
(底本=「西郷隆盛 上巻」玄黄杜・明治43年6月25日再版・「下巻」は未刊)
推薦のことば
日本人の心性に深い刻印
(解説執筆)小尾俊人
山路愛山(一八六四~一九一七、元治元年~大正六年)は、近代日本の生んだ、もっとも優れた「普遍的人間」の一人である。
文学者・歴史家・批評家・新聞人など広い領域にわたって著作があり、その人間的・教育的な感化力は、彼の生きた同時代人にとどまらない日本人の心性に深い刻印を与えている。
彼が残した著作のうち、とくに時代を代表する人物の伝記群は評価が高い。
彼は、代表的・典型的な人物をえらび、それを英雄と呼んだ。
それは時代を作る人であり、その英雄が時代を作るのである。
かれらは、とくに時代と時代の切れ目、その転換期を、いわば「一身にして二世を生きた」のだ。
同時代の資料を正確に読み抜き、比類ないイマジネーション(想像力)の鮮明さと豊富さで、時代のただ中に置かれた人間の思考と行動を分析する。
その鋭く、小気味よい、魅力的な文章の巧みさは、読者を捉えて、はなさない。
ここに選ばれた九人の模範的日本人の系列は、政治家と思想家を含み、日本という大山脈にそびえ立つ峻嶺である。
読者は思わずして、自分とちがった世界に投げ入れられ、同時に、登場人物に自分と同じ血の通う親愛さを感ずるだろう。
そして、歴史という広大な領域に接して、読者それぞれの個性が、拡大してゆく喜びを感ずるだろう。
入手困難だった伝記群の集成の実現は、混沌とした現代の日本の前途に向かって、力づよい方向づけを与え、この偉大な先人たちの知恵と判断を学ぶ機会を与える。
私たちの幸福であり、喜びである。



