出版社内容情報
「日本原爆論大系」全7巻
監修/坂本義和・庄野直美
編集/岩垂弘・中島竜美
定価/本体56,000円+税
造本/A5判・550頁(各巻平均)・9ポ50字詰20行1段組・上製・箱入
被爆から半世紀、初めて成る原爆論の集大成
坂 本 義 和
(東京大学名誉教授)
20世紀最大の出来事は、あの原爆投下だ
ったという意見が、米国の識者の最近の意
見調査でも最も多かったという。核問題は
国を超えた人類的な課題だという、私たち
日本の市民の心を、今後ますます世界に届
けていきたい。そのためには、日本人が核
問題にどう取り組んできたのかを、私たち
自身がよく知っていなければならない。多
様な立場の意見や資料を体系的に集めたこ
のシリーズは、21世紀に遺す、類書のない
証言集である。
庄 野 直 美
(広島女学院大学名誉教授)
核兵器禁止条約を国連で実現できない人
類ならば、世界的環境破壊も大きく進行し
て、21世紀には滅亡するであろう。すなわ
ち核兵器廃絶は、人類共生の可能性を問う
基本的問題である。これに対して世界で最
初の被爆国日本で、被爆者はいかに生きた
か、また日本人は原爆をどのように考えて
きたかを、今後の日本人がよく知って、外
国人にも伝えねばならない。この書物は、
それに役立つ資料を豊かに集めた初めての
ものである。
第1巻 なぜ日本に投下されたか 編集・解説/岩垂弘・中島竜美
第二次世界大戦末期1945年8月、米国はなぜ広島・長崎に原爆を投下したか○
原爆被害の実相と当時の原爆報道を検証します。
第1章 原爆投下はどう受け止められたか
収録文献の編著者:山極晃、朝日新聞、鳩山一郎、中谷宇吉郎、仁科芳
雄、長田新、三笠宮崇仁、塩月正雄、岡本彰祐、山本杉、草野信男、浦
松佐実太郎、永井潜、広島市・長崎市原爆災害誌編集委員会
第2章 なぜ日本に投下されたか
収録文献の編著者:前田寿、西島有厚、立花誠逸、荒井信-、飯坂良明
第3章 原爆はどう報道されたか
収録文献の編著者:陸井三郎、松浦総三、岩垂弘、堀場清子、笹本征男
第2巻 被爆者の戦後史 編集・解説/中島竜実
原爆は人間にいったい何をもたらしたのか。被爆者の戦後の生きざまを通して、
核時代がかかえる危機への告発と、被爆の思想をさぐります。
第1章 原爆は人間に何をもたらしたか 第3章 「きのこ会」を見つめ続けて
収録文献の編著者:山手茂、川手健、松井康浩 収録文献の編著書:風早晃治、山代巴、大牟田稔
第2章 被爆者は戦後をどう生きたか 第4章 ヒロシマ・ナガサキからの訴え
収録文献の編著者:中島竜美、伊東壮、ロバート・J・リフトン、石田忠 収録文献の編著者:鎌田定夫、松元寛、日本原水爆被害者団体協議会
第3巻 原爆被害は国境を越える 編集.解説/中島竜実
第二次世界大戦下の日本で被爆を強いられた朝鮮人・中国人、海外在住日系人
たちのその後と、日本と日本人への彼らの訴えを紹介します。
第1章 原爆被害の裏側
収録文献の編著者:金井利博
第2章 南米・北米のヒパクシヤ
収録文献の編著者:袖井林二郎、米国原爆被爆者協会、藤原茂、在ブラ
ジル原爆被爆者協会
第3章 もう一つのヒロシマ・ナガサキ
収録文献の編著者:李実根、高実康稔
第4章 在韓被爆者は訴える
収録文献の編著者:韓国教会女性連合会、韓国の原爆被害者を救援する
市民の会、在韓被爆者問題市民会議、韓国原爆被害者協会
第5章 強制連行された中国人被爆者
収録文献の編著者:強制連行された中国人被爆者との交流をすすめる会
第6章 被爆者補償
収録文献の編著者:小Jll政亮、田村和之
第4巻 核兵器禁止への道 ‐Ⅰ‐ 編集・解説/岩垂弘
ビキニ被災事件をきっかけに高揚した原水爆禁止運動。それはやがて分裂し、
論争をまきおこします。その過程を、当時の資料をもとに追いかけます。
第1章 占領下の核兵器禁止運動
収録文献の編著者:今掘誠二、平和擁護世界大会委員会、熊倉啓安
第2章 ピキニ被災事件の衝撃
収録文献の編著者:読売新聞、清水畿太郎、武谷三男、野上弥生子、関
□泰、前田多門、石川達三、石垣綾子、高野実、片山哲、阿川l弘之、務
台理作、阿部知二、矢内原忠雄、A・アインシュタイン、B・ラッセル
第3章 原水爆禁止運動の高揚と分裂
収録文献の編著者:水爆禁止著名運動杉並協議会、原水爆禁止署名運動
全国協議会、原水爆禁止日本協議会、自由民主党広島県議会議員会、核
兵器禁止平和建設国民会議、安井郁、日高六郎、佐野文一郎、黒田秀俊、
内野竹千代、日本共産党、日本社会党、南原繁、飯泉栄次郎、竹内静子、
岩井章、原水爆禁止日本国民会議
第4章 運動の統-と運動のあり方をめぐる論争
収録文献の編著者:上代たの、中野好天、藤井日達、三宅泰雄、吉野源
三郎、日本労働組合総評議会、安部一成、会子満広、高桑純夫、河邑重
光、松江澄、高橋昭博
第5章 NGO被爆問題シンポジウム
収録文献の編著者:lSDA JNPC編集出版委員会
第5巻 核兵器禁止への道 -Ⅱ- 編集・解説/岩垂弘
1960年代後半以降、世界は多極化し、核のとらえかたも多様になります。核抑
止力論、核軍縮論など、さまぎま意見や各団体の考え方を紹介します。
第1章 国連軍縮特別総会に向けて
収録文献の編著者:園田直、国連に核兵器完全禁止を要請する日本国民
(NGO)代表団、鈴木善幸、第2回国連軍縮特別総会に核兵器完全禁止と
軍縮を要請する国民運動推進連絡会議、宗教団体、吉川勇-、穂坂久仁
雄、猪木正道、高根正昭
第2章 文学者の反核声明をめぐって
収録文献の編著書:大江健三郎、中野孝次、尾花珠樹、吉本隆明、小堀
桂一郎
第3章 核絶対否定か核兵器絶対否定か
収録文献の編著者:森滝市郎、池山重朗、浅見善吉
第4章 原水爆禁止運動は再分裂へ
収録文献の編著書:西谷豊、吉田嘉清、赤松宏-、田中里子
第5章 核抑止か核兵器廃絶か
収録文献の編著者:湯川秀樹、朝永振一郎
第6章 核不拡散条約をめぐって
収録文献の編著者:倉前義男、小谷秀二郎、八木沢三夫
第7章 核の傘・非核三原則をめぐって
収録文献の編著者:佐伯喜一、村松剛、岸田純之助、今井隆吉、佐藤栄
作、世界平和アピール七人委員会、木村俊夫、毎日新聞、軍事科学研究
会、佐瀬昌盛、勝田吉太郎、核軍縮を求める二十二人委員会、服部学、
今こそ非核法を!運動、金子熊夫
第6巻 核兵器禁止への道 -Ⅲ- 編集・解説/岩垂弘
被爆国である日本は、核に対してどのような立場をとってきたのでしょうか。
国際的な観点もふくめて、核に対するこれまでの主張の中身をさぐります。
第1章 沖縄の核
収録文献の編著者:福地曠昭、赤松勇、国会決議、若泉敬
第2章 非核自治体運動とは何か
収録文献の編著者:青山良道、西田勝、林茂夫
第3章 戦略防衛構想をめぐって
収録文献の編著者:田久保忠衛、安斎育郎
第4章 中距離核戦力をめぐって
収録文献の編著書:前田哲男、高榎尭
第5章 日本政府の核政策をめぐって
収録文献の編著者:河辺一郎、立木洋、細川護煕、田中秀征
第6章 核不拡散条約の延長問題
収録文献の編著者:核拡散問題研究会、田中英也、吉田康彦
第7章 包括的核実験禁止条約をめぐって
収録文献の編著者:阪中友久、梅林宏道
第8章 核使用は国際法違反か
収録文献の編著者:日本政府、平岡敬、伊藤一長、国際司法裁判所、池
田眞規、新倉修、村瀬信也、古川照美
第9章 東西冷戦終結後の課題
収録文献の編著者:土山秀夫、庄野直美、坂本義和
第10章 印パ両国の核実験をどうみるか
収録文献の編著者:神谷万丈、森本敏、《声明≫「科学技術の非武装化を」
呼びかけ人
第11章 核時代の文化と芸術
収録文献の編著者:芝田進午
第7巻 歴史認識としての原爆 編集・解説/岩垂弘・中島竜美
「ヒロシマ・ナガサキ」から半世紀。原爆はどのようにとらえられてきたでしょうか。
各時代の節目にみる国家の論理と民衆の論理を追います。 〔付・関連年表〕
第1章 広島・長崎はどう語られてきたか
-5年ごとのプレイパックー
収録文献の編著者:関東被爆二世連結協議会、青木冨貴子、岡本三夫、
関千技子
第2章 慰霊碑の碑文論争
収録文献の編著者:石田宜子、広島市役所市長室広報係、岸田日出刀、
濱井信三、原爆慰霊碑を正す会、山田節男、荒木武
第3章 被害と加害をめぐって
収録文献の編著者:阿部治平、岩松繁俊、栗原貞子、陸培春、本島等、
広島県原爆被害者団体協議会
第4章 スミソニアン原爆展問題
収録文献の編著者:マーティン・八-ウィット、斉藤道雄、米谷ふみ子、
直野章子
本 書 の 特 色
◎「日本人にとって原爆とは何だったか」
というテーマで、原爆に関する評論の
うち、おもに核問題・核政策・反核運
動・被爆者問題にかかわるものを厳選
しました。
◎平和団体の大会決議や声明など、反核
運動の流れを知るうえで欠かせない、
貴重な資料も収録しました。
◎各巻に関連文献一覧を設け、より詳細
な理解を助けます。
◎1938年から1998年までの核問題・核政
策・反核運動・被爆者問題に関する詳
細な年表を第7巻に付し、原爆をめぐる
世界と日本の動きを明確にしています。
推薦します
今・も一度50年を
栗 原 貞 子(詩人)
2000年を前に、あらゆるジャンルで総括が行なわれている。
原爆投下以来、原水禁と運動を巡るイデオロギー論争・分裂・
再組織・碑文論争・被爆建物論争・国際的に眼をすれば非核──
「作らず・持たず・持ち込ませず」は既に周辺事態を国会にも
かけず、米軍が想定するが儘に行なわれている。
一度目は過ちでも二度目は裏切りだ。
死者たちへの誓いを忘れまい。
「平和の思想」を
生み出す基礎となる
平 岡 敬(前広島市長)
広島・長崎への原爆投下から、人類は何を学んだのだろうか。
また広島も、その悲惨を訴えてはきたものの、国際政治の現実
と切り結ぶような力強い「平和の思想」を生み出すには至ってい
ない。それゆえ、仮に地球上から核兵器がなくなる日が来たと
しても、人類がそれを製造する知識を獲得してしまっているこ
とへの不安は続く。半世紀にわたって論じられてきた「原爆論」
の集大成は、この人間と核兵器の問題を考える基礎資料である。
核兵器に対する認識を
いま一度深めよう
伏 見 康 治(日本学術会議元会長)
広島・長崎で人道に背く大量虐殺兵器の悲劇を始めて体験し
た私たち日本人は、30万人に及ぶ同胞の死を無駄にしないため
にも核兵器の廃絶こそを悲願とまで考えている。だが、被爆か
らすでに54年の歳月が流れ、日本人の被爆体験も次第に風化し
つつある。21世紀にこそ私たちの悲願を達成するためには、日
本人がいま一度、核兵器に対する認識を深めることが何よりも
大切である。原爆に関する評論を集めたこの文献集は、それに
役立つに違いない。
飯 島 宗 -(名古屋大学名誉教授)
石 田 明(全国被爆教職員の会会長)
伊 東 壮(日本原水爆被害者団体協議会代表委員)
伊 藤 サカ工(日本原水爆被害者団体協議会代表委員)
伊 藤 一 長(長崎市長)
伊 藤 成 彦(中央大学教授)
岡 本 三 夫(広島修道大学教授)
小 川 岩 雄(立教大学名誉教授)
鎌 田 定 夫(長崎平和研究所長)
川 崎 昭一郎(第五福竜丸平和協会会長)
北 西 允(広島大学名誉教授)
喜屋武 馨(日本非核宣言自治体連絡協議会会長)
高 橋 昭 博(元広島平和記念資料館長)
竹 本 成 徳(日本生活協同組合連合会会長理事)
土 山 秀 夫(元長崎大学学長)
坪 井 主 税(札幌学院大学教授)
外 山 雄 三(音楽家)
中 沢 啓 治(浸画家)
中 野 孝 次(作家)
西 田 勝(西田勝・平和研究室主宰)
服 部 学(立教大学名誉教授)
早 坂 暁(脚本家)
林 光(作曲家)
林 京 子(作家)
福 地 曠 昭(沖縄人権協会理事長)
丸 木 俊(画家)
本 島 等(前長崎市長)
山 口 仙 二(日本原水爆被害者団体協議会代表委員)
吉 永 小百合(俳優)