出版社内容情報
山本四郎校訂・解説
全10巻・別巻(解説)1
復刻版
6,344頁 A5判上製
本体170,000円
ISBN4‐8205‐5286‐4
NDC 315.1
1900年(明治33)に創立され、その後40年の命脈を保ち、わが国の政治史上重要な地位を占めた立憲政友会。
本書は立憲政友会の正史に準ずべき「立憲政友会史」を主として新聞その他の資料を博捜して可能な限りの補訂を施して復刻。
立憲政友会史の研究なくして政党史研究はありえず、その“準正史”として本書は、わが国の近代史、政治史、政党研究者にとって不可欠の基本文献である。
なお、原史料に対する補訂にも自ら制約があるゆえに、別巻として解説1巻を付し研究者の便宜をはかっている。
(各巻内容)
1.伊藤博文総裁時代
始期
明治33年(1900)8月
頁数336
口絵5丁
原本出版年
大正13年(1924)5月
2.西園寺公望総裁時代
始期明治36年(1903)6月
頁数604
口絵3
原本出版年大正13年(1924)9月
3.西園寺公望総裁時代
始期明治41年(1908)7月
頁数928
口絵3
原本出版年大正14年(1925)5月
4.原敬総裁時代
始期大正3年(1914)6月
原本出版年大正13年(1924)9月
頁数816
口絵5
原本出版年大正15年(1926)11月
5.高橋是清総裁時代
始期大正10年(1921)11月
頁数480
口絵3
原本出版年昭和8年(1933)11月
6.田中義一総裁時代
始期大正14年(1925)4月
頁数752
口絵3
原本出版年昭和8年(1933)11月
7.犬養毅総裁時代
始期昭和4年(1929)9月
頁数864
口絵3
原本出版年昭和8年(1933)11月
8.鈴木喜三郎総裁時代
始期昭和7年(1932)5月
頁数482
口絵2
原本出版年昭和18年(1943)9月
9.代行委員時代
始期昭和12年(1937)2月
頁数408
口絵2
原本出版年昭和18年(1943)9月
10.中島知久平総裁時代
始期昭和l4年(1939)3月
頁数504
口絵4
原本出版年昭和18年(1943)5月
別冊.
解説(山本四郎)
頁数338
立憲政友会について
明治33年(1900)9月、伊藤博文の主導下に、伊藤系の官僚や憲政党、帝国党などによって創立され、昭和15年(1940)7月に解党するまでの40年間、日本の政党政治の中心となった大政党である。
総裁は、初代伊藤博文、二代西園寺公望のあと、原敬、高橋是清、田中義一、犬養毅、鈴木喜三郎とつづき、昭和14年に久原房之助・中島知久平の2派に分裂した。
40年間に61回の議会を経験し、うち41回の議会で第一党の地位を占め、単独で政権を担当すること通算11年に及んだ。
政友会が政党政治の発展に果した役割は大きく、その党史は日本の議会政治の歩みそのものといってよい。
戦前の政党史を概観してみると、自由民権時代から初期議会を代表するのが自由党と改進党であり、両党をひきつぐ政友会と国民党が明治中期から大正初期を代表し、政友会と同志会・憲政会・民政党が国民党・革新倶楽部を介在させながら大正中期以降を代表して、政党政治とファシズムの時期に至ることになる。
◎本書は、第3代総裁原敬の強い要請により編纂が始められた『立憲政友会史』(大正13年~昭和18年刊)に、党の機関誌『政友』その他により詳細、厳密な補訂を施して復刻し、別巻解説を付したものである。
◎『立憲政友会史』は、立憲政友会の唯一の党史である。
立憲政友会は明治33年(1900)に創立され、昭和15年(1940)に解党されるまでの40年間、前半はわが国最大の政党として、後半は憲政会及びその後身の民政党と勢力相半ばして、わが国政党史上重要な地位を占めた政党である。
◎立憲政友会の正史ともいえる『立憲政友会史』は、わが国の近代史、政治史、政党史等の研究者に不可欠の基本文献として高く評価されてきているが、そこには内政、外交、軍事、産業、経済、文化、教育、言論、宗教、労働など、当事者の言行が鏡にうつすように記録され、ドキユメントとしても面白く、近代政治という限られた分野だけでなく、広い分野の研究資料として活用され得るものである。
推薦のことば
保守本流の源泉を知るために
松尾尊兊
明治憲法の起草者で、明治天皇の信任厚い元勲たる伊藤博文を初代総裁に頂いた立憲政友会は、1900年の創立から1940年の解散にいたるまで、「国家政党」として保守本流の地位を堅持した。
世に政友会と民政党を併称して二大政党と呼び、互いに政権を交代しあった昭和初年の一時期はあったが、民政党はそれまで党名も幾度か変り、ほとんど第二党に甘んじたのである。
本書はこの政友会の準正史として、日本近代史研究上の基本文献の一つであることはいうまでもない。
原総裁時代までの四巻は比較的流布しているが、全10巻を揃えた研究機関は全国でも稀であろう。
古書市場でも姿を現わすことは、ほとんどない。
復刻だけでも価値があるのに、山本四郎博士により綿密な校訂が加えられ、さらに320頁余に達する詳細な解説が付されるという。
山本博士はこれまで「初期政友会の研究」「大正政変の基礎的研究」「山本内閣の基礎的研究」ほかの大作を次々と公刊されたほか、最近は「原敬関係文書」全11巻をほとんど独力で編纂された、政友会研究の第一人者である。
この最適任者による本書の校訂と解説は、この復刻に錦上花を添えるものとなろう。
(まつおたかよし)
政友会40年の唯一の党史
伊藤隆
明治33年に結成され、昭和15年に解党した立憲政友会は何と言っても、日本の政党を代表する存在であり、その研究は日本政治史の中心であることは間違いない。
しかしその40年の歴史を曲がりなりにも記録したものとしては党自身が編纂刊行した「立憲政友会史」全10巻しかない。
それにしてもどこの図書館に行ってもそれが全巻そろっているところは皆無に近い。
古書店に行ってもほとんど揃いはない。
仮にあったとしても、目の玉が飛び出すほど高価である。
こうした状況の中で、それが復刻されるというのは、朗報である。
しかも立憲政友会の研究の第一人者であり、予てから立憲政友会史を自ら史料に基づいて新たに書き上げようという意欲を持たれ、これまで数多くの研究を発表されてきた山本四郎氏が、原文を損なわない形で厳密で丹念な校訂を施し、且つ詳細な解説を付しているのである。
本書の復刻を心から喜び、広く推薦する所以である。
(いとうたかし)