出版社内容情報
あの青い空の波の音が 聞えるあたりに 何かとんでもないおとし物を 僕はしてきてしまつたらしい 透明な過去の駅で 遺失物係の前に立つたら 僕は余計に悲しくなつてしまつた 初刊の装丁を模したデザインの詩集。
著者紹介
1931年東京都生まれ。詩人。戯曲、記録映画制作、絵本・童話制作、絵本の翻訳など様々な分野で活躍している。著書に「あいうえおうた」「女に」、編書に「母の恋文」など。
内容説明
万有引力とはひき合う孤独の力。初刊のデザインの香りをつたえる新しい愛蔵版詩集シリーズ。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nyaoko
49
絵本ではない、谷川さんの本を、歌を読むのは何十年ぶりだろう。学生以来では?しかも、初めて読んだ『二十億光年の孤独』谷川俊太郎と言えばの代表作、なんで今まで素通りしていたんだと言う悔しさと共にこの歳で知った言葉の魅力に感動した。表題作も素敵なのだが、私は「地球があんまり荒れる日には」の火星に憧れる少年の姿を空想してなんだか嬉しくなった。それはきっと、谷川さんで、あなたで、わたしだと思う。2024/11/27
なお
35
谷川俊太郎の第一歌集。昭和27年(21歳)の刊行。『飛行機雲』『風』等、空を見上げながらふと感じたありのままの思いが綴られたような詩の数々。そこには生活の匂いはほとんど感じられない。木漏れ日からの光を言葉にしたら、こんな詩になるのだろうか。表題の『二十億光年の孤独』。火星人は「或いはネリリし キルルし ハララし」、 宇宙はどんどん膨らんでゆく。最後の一文、「二十億光年の孤独に 僕は思はずくしゃみをした」が洒落ている。田中俊廣さんの解題には、のびやかで素直なリリシズムは清新であったに違いないと書かれている。2024/07/26
スノーシェルター
13
心が静かになったり、ざわついたりした。宮沢賢治っぽいなとも思う。でも、とても素敵。二十億光年の孤独と静かな雨のよるにが好き。2013/04/29
マコ
8
「今日は誰にも愛されたかった」での岡野大嗣のエッセイで自分も谷川俊太郎に育てられた(レオ・レオニの翻訳とか)一人だと気づいたので代表作を読んでみた。結果、よくわかりませんでした。終戦から7年の当時はみずみずしくて新鮮だったのでしょうか。でも「万有引力とは ひき合う孤独の力である」はさすが。「病院」の「原色のスーツはレントゲンの前に無力である」が好き。あとネロはあかん。ネロは反則。犬好きにネロはあかん。2020/08/11
遠藤三春
8
箱入りで素敵。すでに評家が述べるように、みずみずしい躍動、新鮮であり、言葉の選びが素敵。初めて谷川さんの詩を読んだけれどかなり好き。詩は、私には理解できるモノとできないモノがあるけれど、谷川さんの詩は、想像できる。抽象的なモノをどれだけ言葉に表せられるかというのは難しいのに、感情やイメージを的確に言語化できているのが素晴らしい。読んでいて日本語の美しさに惚れる。表現の多様性に驚嘆する。2012/03/17
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- 和書
- 遠い約束 角川文庫