出版社内容情報
昭和10年刊行の第一詩集「わがひとに与ふる哀歌」と、昭和15年刊の第二詩集「夏花」を収録。
著者紹介
1906~53年。長崎県生まれ。京都帝国大学卒業。詩人。「日本浪漫派」「四季」同人。悲壮感に富む技巧的な詩風を確立した。著書に「春のいそぎ」「反響」など。
内容説明
初刊のデザインの香りをつたえる新しい愛蔵版詩集シリーズ。青春の誇りと痛みの絶唱。
目次
晴れた日に
曠野の歌
私は強ひられる―
氷れる谷間
新世界のキィノー
田舎道にて
真昼の休息
帰郷者
同反歌
冷めたい場所で〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ダイキ
4
大学図書館。保田與重郎の「セント・ヘレナ」を読み直していたら、この詩集中の詩句が驚く程直接引かれているのを見つけて、改めて読み返してみました。今回で6度目位ですが、毎度新発見があります。「静かなクセニエ」などはこれまではよく解らず、半ば読み飛ばしていましたが、これ程伊東靜雄という詩人を物語るものだったとは。「噴泉の怠惰のやうな/翼を疾つくに私も見捨てはした/けれど少年時の/飛行の夢に/私は決して見捨てられは/しなかつたのだ」(河辺の歌) 萩原朔太郎の「歪められた島崎藤村」という哀憫はまことに的確でしょう。2016/06/28
うぃっくす
3
この詩集を何で読んでみたいと思ったのか忘れたけど多分何かに引用されてたんだろうな。萩原朔太郎が好きでなんか雰囲気にてるなーと思ってたら萩原朔太郎が伊東静雄のことを評価してたと最後の解説にかいてあって納得。この中なら水中花が好き。「金魚の影もそこに閃きつ。すべてのものは吾にむかひて死ねといふ、わが水無月のなどかくはうつくしき。」観念的なものをうまく言葉にのせるとこうなるのかな。2017/02/05
龍國竣/リュウゴク
2
この詩には緊迫感が備わっている。それは命令形を用いているのに加え、否定的、断定的な語句を挿入しているからだろう。萩原朔太郎に「何といふ痛手にみちた歌であろう…もはや青春の悦びは何所にもない」と言わせている。その背後には誇り高さがあるのだろう。2013/08/13
ダイキ
1
「私は私なりのものを尊ぶので、決/して粗野な彼らの言葉を、その儘には受領し/ない。いかにも私の丈に合ふやうに、却つて、/それで瀟洒に見える様、それを裁ち直すのだ。/あゝ! かうして私は静かなクセニエを書/かねばならぬ!」〈静かなクセニエ〉2017/11/26
月
1
難解だけれど、どこか惹きつけられる。ひとつひとつを味わいたい。2013/12/22