出版社内容情報
空が 凝視てゐる ああ おほぞらが わたしを みつめてゐる おそろしく むねおどるかなしい 瞳-。澄んだ秋空に咲く心の詩。自選の詩117編を収めた八木重吉の第一詩集を、初版のデザインを模した装丁で再刊。
著者紹介
1898~1927年。東京府生まれ。東京高等師範学校文科第3部英語科卒業。詩人。詩集に「貧しき信徒」など。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マリリン
32
伝えるという言葉や意志がなくても気持ちが伝わってくる。綴る言葉は少ない。雑多な感情や言葉が溢れ渦巻く世間から静寂な世界に引き込まれる。瞳の中の感情は時に陰鬱であり愉しくもあり、喜びもあり、不安もある。少ない言葉から伝わってくる豊かな感性がよい。 ...きみの心が あまりにも強く 解きがたく 消しがたく 悲しさにうづく日なら 君は この坂路をいつまでものぼりつめて あの丘よりもつともつと高く...のぼってゆきたいとは おもわないか... 「秋の瞳」よい言葉だ。2020/09/18
遠い日
6
時々どうしようもなく向き合いたくなる重吉の世界。齢29にして早逝した孤高の詩人、八木重吉。死と信仰の間で、己の生を掻き毟るようにことばを紡いだ詩は、心に深く沁みてくる。美しいだけではない、遣りようのない怒りと迸るような悔しさがそこここに散見されるのも、胸に刺さる。「心よ」、「秋のかなしみ」、「ほそいがらす」、「雲」、好きな詩です。2022/02/14
深田水松
6
秋にぴったりの詩集。青空文庫で読めます。素朴な言葉ですが印象深い詩ばかりです。2015/09/16
tario
6
青空文庫にて。「草にすわる」と「心よ」が好き2014/01/28
南包
5
『詩集 秋の瞳(八木重吉)』 解題にこうある。この詩集の初刊は、大正14年8月1日。定価は1円とするべきところ、貧しい青年にも読んでもらいたいために70銭にしたという。その本の再刊、愛蔵版詩集シリーズの一つである。 八木重吉は序で、 【私は、友が無くては、耐へられないのです。しかし、私には、ありません。この貧しい詩を、これを、読んでくださる方の胸へ捧げます。そして、私を、あなたの友にしてください。】 と、書いている。 最初の詩「息を 殺せ」を引く。 【息を 殺せ】 息を ころせ いきを ころせ あかんぼ2015/10/24