感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
宮月中
2
研究用。明治末期に木下杢太郎らが主催した文士達のたまり場「パンの会」にまつわる研究集。戦間期、若者たちの抱える青春の気風、西洋芸術を受け入れつつ江戸東京への愛郷心も捨て去らない情調概念、鉄幹らの「明星」から「スバル」へと至る後期ロマン派の軌跡、思想・派閥・ジャンルをも超えた交流などを紐解くにつけ、パンの会は戦前文学史における特異点とも言える。著者は本研究に際して、敬愛する杢太郎へ捧げる記念碑的な位置付けをも想定していたかもしれないが、解説で「好きなのは分かるが甘く書きすぎ」と真っ当なツッコミも受けている。2024/12/24