内容説明
司馬遼太郎氏が書いた“老記者”から、「権力の監視」を大仰に謳う記者へ。なにが変わったのか。「事実より観念論」の恐ろしさを浮き彫りにする。平成の“押し売り”報道全記録。生き残る情報、死ぬ報道を喝破する。新聞が書かない「論点」を収録。知りたい情報はここにある。
目次
第1章 朝鮮半島危機に何を報じたか
第2章 報道は歴史を直視しているか
第3章 「謝罪」の後の主義主張
第4章 命より憲法という観念論
第5章 なぜ「現実」を報道できないか
第6章 “ビラ”になった新聞
第7章 自ら放棄する言論の自由
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ウッディ
125
朝日/毎日と読売/産経、日本の4大全国紙が、それぞれリベラルと保守、左と右、そして反安部と親安倍という旗色を明確にしたのはいつからか?社の思想や方針は、事実を正確に記事にした上で貫くべきだが、インターネットに押され、新聞自体の存在価値が低下した今、事実を捻じ曲げて、同じ思想の読者の共感を得ようとする新聞社のやり方に、門田氏は警鐘を鳴らす。特に、日本を貶める慰安婦問題、福島原発での朝日新聞の記事は許せないと思った。権力の監視役を担うのであれば、公正な観点で自らの間違いを正せる度量が必要ではないかと思った。2020/10/24
南北
103
かつては「社会の木鐸」と呼ばれた新聞が夢想家のビラと化していることを批判した本です。産経新聞のコラムと「正論」に掲載した論文をまとめたものなので、簡潔に書かれていて読みやすいものになっています。あとがきで「我々の使命は権力を監視することだ」という新聞記者を批判していますが、新聞記者のこうした発言の一因は日本国憲法の捉え方にあると思います。通説では憲法を「国を縛る法律」だとしています。つまり国家とは国民がぼんやりしていると何をしでかすかわからない存在だとしているのです。これでは勘違いする人も出るはずです。2019/07/18
金吾
79
○著者の主張のほとんどに同意できます。新聞に限らず多くのマスコミは安全な場所に身をおいて自己満足の論を述べ、しかも詐術と同様の手法をとるという印象を子どものころから抱いていますが、改めて本書を読むとムカムカしてきました。誇りがないのだろうなと思っています。2020/12/10
Makoto Yamamoto
78
筆者のSNSで主張は理解していた。 ただ、連載で書かれていた内容がそのまま載ると読みづらい。 手を入れて読みやすくしていただければと思う。 一番好きなところは司馬遼太郎が新聞記者になる段で、老記者が語った言葉。 この通りなら、多くの新聞社は紙部数が減っても、電子メディア等での読者が増えたのではないかと思う。 それにしても、大衆を扇動し日本を戦争に導いた朝日、毎日がまた同じようなことしているが、SNS等で嘘がばれ、読者を減らすのは当然と思う。2020/01/20
TakaUP48
69
「新聞記者とは、鉛筆と現場と離れた形では考えられぬ、ツブシの利かない人」と福井定一(司馬遼太郎)は老記者に語らせたという。現代の新聞の紙面の劣化を指摘し、フェイクや取材不足を憂う。既に結論ありきの記事を書き、知識人にコメントを言わせたり、質問に自分の考えを入れて失言を誘う落し込み。「権力を監視することが我々の使命」という記者に「気に入らない政権に、事実に拠らないケチをつける」のが君らの使命なのか?と問いたいという。圧力団体やスポンサーにひれ伏し、偉くなってしまった記者に活を入れる本と捉えれば良いのか?2019/09/07
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