内容説明
憲法九条の改正、再軍備の必要性を宰相に進言した男は現在の日本が抱える「国家の溶融」を既に見ていたのか…最後には吉田が頭を下げた元陸軍中将の隠された実像。ＣＩＡ文書など一級の史料で描くノンフィクション。
目次
首相には「影の参謀」がいた
葉隠精神と破天荒の時代
情報戦争の渦の中へ
吉田茂との運命的な出会い
英米派の孤独な戦い
風雲急を告げる日米“一触即発”
帝都防衛、学童疎開
敗戦―占領軍がやってきた
鉄のカーテンが降ろされた
吉田が目指した日本独立
「歴史に消えた参謀」
吉田ドクトリンを超えて
著者等紹介
湯浅博［ユアサヒロシ］
産経新聞特別記者・論説委員。１９４８年東京都生まれ。中央大学法学部卒、プリンストン大学Ｍｉｄ‐Ｃａｒｅｅｒ Ｐｒｏｇｒａｍ修了。産経新聞入社後に千葉支局、経済部を経てワシントン特派員、外信部次長、ワシントン支局長、シンガポール支局長を歴任。２００２年７月から現職。産経新聞に「世界読解」「東京特派員」などのコラムを執筆中（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ～ 1件／全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あろは祭り
2
歴史に消えた、数多の先人たちに思いを馳せる。2013/08/14
寅次郎
2
あまりも内容の濃さでした。気になるのは「第５列」に関わった人達の行方です。自分の知らない世界もあり、勉強になりました。2012/11/24
たっつん
1
歴史にたらればはないが、指導者が違っていれば英米との大戦は避けられたのかも知れない。あるいは当時の国民が望んだことなのか。また、憲法改正、国軍の創設も独立を果たす時点で行うべきだったのだろう。政治のリアリズムの前にはそれも難しかったのか。残念でならない。2022/05/31
kazn777
1
吉田茂首相の隠れた参謀辰巳栄一。典型的陸軍エリートながら、数度の英国駐在武官を経験し数少ない英米通であった。チャーチルの謦咳に接し、戦時下の英邁な指導者と英国人の「不撓不屈のジョンブル魂」を痛切に感じ、ヒトラーの敗北、連合軍の勝利を確信したという。戦後は、日本再軍備に陰ながら奔走し、現在の自衛隊の基礎を創り上げた。また昭和27年、吉田首相の意を受け、日本版ＣＩＡを目指した「内閣官房調査室」の設置と運営・拡大に尽力したが、旧内務省、外務省の権力闘争と、組織内の容共スパイの工作等により潰えた事実を知る一冊。 2013/12/28
Ikuo Watanabe
1
吉田首相へ如何に影響を与えたかを知りたくて、読んだのだが、吉田が軽量武装を実現していく影の片腕だった事が理解できる。プロセスにおいて、アメリカ側との取引があったことも現実感ある部分だ。しかし、こんなこと出来る酸いも甘いもわかった先輩に笑われない国でありたい。2013/07/28
