内容説明
18世紀、西欧に到来しつつある商業社会の本質を冷徹に見通していた思想家・マンデヴィル。思想の一部はアダム・スミスが事実上継承し、ケインズ、ハイエク、マルクスらの想源となった作品の新訳。
目次
1 緒言
2 栄茂の蜂の巣―悪人が正直者になった話
3 序文
4 美徳の起源についての一考察
5 注釈
6 慈善および慈善学校に関する試論
7 社会の本質についての一考察
8 本書の弁明―「ミドルセックス州大陪審の告発」と「C閣下への誹謗の書簡」における中傷に対して
著者等紹介
鈴木信雄[スズキノブオ]
経済学博士。千葉経済大学・大学院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
51
前から気にはしていた本。奢侈は、奢侈に耽るすべての人々にとってと同様に、国全体の富にとっても破壊的であり、また人々の倹約がそれぞれの家庭の財産を殖やすのと同様に、国民全体の倹約が国を豊かにするというのが、広く世に受け容れられてきた見解である(92頁)。ここの訳注(35)によると、ロック、ノースが出る。そして、ニコラス・バーボン『交易論』で、トーマス・マンを批判し、マンデヴィルの思想的先駆をなしているという(336頁)。本書の弁明:知識と教育ある人々が、暇な時間に、読んで楽しめるように書かれた(322頁)。2022/08/06
sayan
17
「悪徳が公益を生む」と単純な逆説が先走るも本質は虚栄や恐れ等、人の情念が社会を動かす冷徹で現実的な議論。今朝日本に関税24%と発表された。2025年のトランプ再登場背後にラストベルトの労働者の不安と怒りがある。本書は「貿易が国家を強くする」と説くもそれは欲望の自由な流通を前提とする。保護主義は情念に応える一方で公益を損なう危うさも孕む。この視点はホッブズ的であり、理想を語る前に情念の現実を見よと促す。それは制度と倫理を接続する出発点でもある。情念を抑えるではなく制御する再分配等、今日的応用の可能性がある。2025/03/06
ヨンデル
2
以前に読んだ本です。2024/04/17