谷川雁セレクション〈1〉工作者の論理と背理

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  • サイズ A5判/ページ数 445p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784818820005
  • NDC分類 918.68
  • Cコード C0395

出版社内容情報

「「瞬間の王」は死んだ」の名句を残して詩作から離れた谷川雁の刊行された全詩集を収録。
左翼運動のさなか自ら「工作者」として、民衆のサークル運動に力を注ぎ、思想の「自立」に賭けた革命詩人の軌跡を辿る。              解説=佐藤泉    


Ⅰ 詩篇
 伝達/大地の商人/天山/『谷川雁詩集』あとがき/わたしの物置小屋/断言肯定命題
Ⅱ 工作者の論理
 無を噛みくだく融合へ/工作者の死体に萌えるもの/現代詩の歴史的自覚/工作者の論理/観測者と工作者
Ⅲ 定型の超克
 党員詩人の戦争責任/死後轢断/民衆の無党派的エネルギー/沈黙の夜を解くもの/明日へ生きのびること/私のなかのグァムの兵士/乗りこえられた前衛/さしあたってこれだけは/定型の超克/前衛の不在をめぐって/転向論の倒錯/『戦闘への招待』あとがき/わが組織空間
Ⅳ サークルと集団
 さらに深く集団の意味を/女たちの新しい夜/女のわかりよさ/報告風の不満/「全国交流誌」発刊準備について/荒野に言葉あり/政治的前衛とサークル/人民文化創造の基礎を/サークル村始末記/試行のために/あなたのなかに建設すべき自立学校を探求しよう!/権力止揚の回廊

内容説明

「瞬間の王」は死んだの名句を残して詩作から離れた谷川雁の刊行された全詩集を収録。左翼運動のさなか自ら「工作者」として、民衆のサークル運動に力を注ぎ、思想の「自立」に賭けた革命詩人の軌跡を辿る。

目次

1 詩篇(伝達;大地の商人;天山;『谷川雁詩集』あとがき;わたしの物置小屋;断言肯定命題)
2 工作者の論理(無を噛みくだく融合へ―現代詩がめざしているもの;工作者の死体に萌えるもの;現代詩の歴史的自覚―戦後意識の完結をめぐって;工作者の論理;観測者と工作者)
3 定型の超克(党員詩人の戦争責任;死後轢断;民衆の無党派的エネルギー;沈黙の夜を解くもの;明日へ生きのびること;私のなかのグァムの兵士;乗りこえられた前衛;さしあたってこれだけは「共同声明」;定型の超克;前衛の不在をめぐって;転向論の倒錯;『戦闘への招待』あとがき;わが組織空間)
4 サークルと集団(さらに深く集団の意味を―『サークル村』創刊宣言;女たちの新しい夜;女のわかりよさ;報告風の不満―九州の情勢をめぐって;「全国交流誌」発刊準備について「共同声明」;荒野の言葉あり―上野英信への手紙;政治的前衛とサー来る;人民文化創造の基礎を―学生サークル活動に望む;サークル村始末記;試行のために「『試行』創刊宣言」;あなたのなかに建設すべき自立学校を探求しよう!;権力止揚の回廊―自立学校をめぐって)

著者等紹介

谷川雁[タニガワガン]
1923年12月16日、熊本県水俣町に生まれる。本名は巌(いわお)。眼科医の四男二女の次男であり、兄に健一(民俗学者)、弟に道雄(中国史学者)、(吉田)公彦(出版・編集者)がいる。熊本中学校、第五高等学校、東京帝国大学文学部社会学科卒。在学中に学徒動員され、千葉県で陸軍の野戦重砲隊員として終戦を迎える。福岡の西日本新聞社に勤務。安西均や丸山豊らと交友し、詩や詩論、批評を発表しはじめる。1947年に日本共産党入党、労働争議を指導し失職。共産党九州地方委員会に属し、井上光晴らを知る。その後、水俣や阿蘇山麓で結核の長期療養生活に入る。1958年、福岡県中間町に移住し、上野英信・森崎和江らとともに『サークル村』を創刊。サークル文化運動や坑夫たちの「大正闘争」に参入するなか、1960年に日本共産党を離党・除名。以後、杉原茂雄らとともに「大正行動隊」「大正鉱業退職者同盟」を組織し、前衛党から自立する思想・運動に大きな影響をあたえる。1965年に上京。ラボ教育センターで、「物語テープ」を用いた英語習得運動の組織化にたずさわる。1978年、長野県黒姫山麓に移住。1981年に「十代の会」、翌年に「ものがたり文化の会」を創設。宮沢賢治童話を、少年・少女たちの「人体表現」をつうじて集団的に表現する「人体交響劇」を提唱する。1995年2月2日、肺癌により死去。享年71歳

岩崎稔[イワサキミノル]
1956年生まれ。現在、東京外国語大学大学院総合国際学研究院教員

米谷匡史[ヨネタニマサフミ]
1967年生まれ。現在、東京外国語大学大学院総合国際学研究院教員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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無名

0
〝組織のあるところにエネルギーは存在せず、エネルギーのあるところに組織が存在していない。 ″ 〝前衛とは後衛を牽引するそれ自身に内在するエネルギーの動力機関ではなく、後衛から打撃されることによってエネルギーを獲得する方向指示の機能でしかない。 前衛が推進するためにはら後衛を打撃することによって後衛からの打撃のエネルギーを得なければならない。前衛の責任は最初の点火の責任にほかならない。 一瞬の点火のエネルギーが内在するかどうか、それが前衛に向かって問いつづけられる不断の告発である。″ ひとつのイデオロギーの2017/08/22

トックン

0
吉本隆明の伴走者で、独自の扇動家。氏は吉本による戦中の詩人や知識人の戦争責任の追及が大衆擁護に傾くとして批判する。代わりに「双頭の怪獣」じみた知識人&大衆の両者に対抗する遊撃隊のような「偽善の道をつらぬく工作者」の媒体を組織する。が工作者すら信用せず、その屍の上に「萌えるもの」を支持する。「自立学校」も似た発想。自立は教授不可なので中退し自作すべしという不可能性なアナーキーの実践。同様に安保闘争ではなく三池争議を自発的共和精神の発露として評価する。「連帯を求めて孤立を恐れ」ぬ者こそ「明日のために死」ねる。2017/04/10

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