内容説明
本書では、イギリスの植民地経営にあたって重要な民生技術の一つであった河川からの分水による用水路灌漑技術が、インドにおいて初めて開発された技術であったこと、それがのちにエジプトなど他の植民地にも移転されていったこと、を明らかにする。同時に、植民地支配の限界からそのような近代的灌漑技術も行政制度化の面で問題があったこと、それが今日のインドに植民地遺制の一つとして継承されてきていること、そしてその解決に向けての試みが現在なされていること、を紹介する。
目次
第1章 伝統的農業生産と灌漑
第2章 イギリスによるインドの植民地化
第3章 在来の灌漑用水路の修復
第4章 ガンガー用水路の建造―近代的用水路灌漑技術の確立過程
第5章 灌漑行政制度の整備と灌漑の発達
第6章 20世紀前半の灌漑の発達
第7章 独立後の灌漑発達と現状
第8章 北インドにおける用水路灌漑行政制度―ウッタル・プラデーシュ州の事例