目次
序章 技術、帝国主義および歴史
第1部 汽船とキニーネ―浸透の道具(東インド会社の秘密の砲艦;中国におけるネメシス号;マラリア、キニーネおよびアフリカへの浸透)
第2部 銃砲と征服(19世紀前半の武器と植民地戦争;元込め銃革命;アフリカの武器;武器格差と植民地における衝突)
第3部 交通・通信革命(汽船とインドへの陸上ルート;高性能の汽船の出現;スエズ運河;海底ケーブル;グローバルな海洋覇権国家;インドの鉄道;アフリカの交通―夢と現実;技術的帝国主義の遺産)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
六点
102
19世紀イギリスを始めとする西欧列強は、世界に植民地を設けた。その要因を「河川用蒸気船」「キニーネ」「後装ライフル銃」「鉄道」などの技術の内発的発展に見た書籍である。著者いわく、日本は「1894年に潜在的標的を脱した」との事であるが、標的を脱するために払った犠牲や努力を思えば、先人に敬意しかなくなる。勘違いしていけないのは、技術の進歩を生物学的優劣と見てはならないという、著者の見解は20世紀最大の反省点であろう。しかし、先進国や覇権国と言うのは如何にしんどいものであるか思い知らされる。2022/06/12
主任
2
帝国主義の原因の一つを19世紀の技術の発展においたもの。インド、アフリカの双方の存在は帝国主義時代の数世紀も前からヨーロッパに知られていたが、進出されていたのは沿岸部のみであり大規模な内陸征服が行われたのは19世紀の技術発展を待たなくてはならなかった。汽船は内陸部までの船の遡上を可能にし、キニーネ予防薬はアフリカを暗黒大陸から解き放ち、銃の発展はヨーロッパに圧倒的火力をもたらし、運河・鉄道は人、モノの運搬コスト爆発的に低下させた。政治・経済ではない帝国主義の説明でありとても興味深かった。2018/11/23