内容説明
似た作風の現代作家一覧、舞台となった地図も掲載。清張作品のガイドブックにも活用!1950~90年代の代表作50編収録。現代にも通じる作品世界を清張文学研究者が読み解く。
著者等紹介
酒井信[サカイマコト]
1977年、長崎市生まれ。明治大学准教授。早稲田大学卒業後、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程修了。博士(政策・メディア)。慶應義塾大学助教、文教大学准教授を経て現職。専門は文芸批評・メディア文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
115
昭和という激動と格差に翻弄された時代、欲望の肥大化と望みのかなわぬ現実という「感情の訛り」に苦しみ、取り残された人は他者への怒り、妬み、悪意、恐怖など人の業を肥大化させた。被害者や加害者のみならず刑事に家族まで巻き込み。抱えた業が金欲と物欲と権力欲に結びつき犯罪として爆発するプロセスこそ清張作品の核だった。欲望を持てあます人は昭和にいくらでもいたが、生きるのが上手な者は成功し下手な者は破滅する。作家にならねば自分もそうなっていたかもと感じた清張は、転落し傷つき破滅した人びとの紙碑を書き続けたのではないか。2025/05/25
Hiro
4
清張の代表作50作を紹介した入門書。作品のテーマ、当時の世相、題材となった事件、作者の思想を一作一作丁寧に解説している。面白いのは作品ごとに他の作家の類似作を挙げていること、例えば「張込み」には角田光代の「空中庭園」のように。これが50作全部に。それから文中しきりに「感情の訛り」という言い回しが使われているがこれは清張の文章にはないように思うので、著者の造語だろうか。特に注釈もなくて気になる表現だ。清張の作中人物に見られる特有の感情の動きを指しているようで、分かったような分からないような不思議な表現だ。2024/07/18
い
3
さし絵のインパクト強し。作品ごとに、想起される他者の本を挙げるのと、これは清張による⚪︎⚪︎小説と言えるだろう、と締めくくるのは連載のお約束なのだろうが、こじつけ感強し。ただ、ラインナップながめるだけでも楽しい。「疑惑」って意外と後期の作品なんだ。久しぶりに何か長編読んでみようかと思った。2024/11/11
startvalue
3
★★★★★ 紹介されいてる作品と類似した他著者の作品も紹介して下さっていて、興味深く読みました 2024/03/20