目次
1 草木のように自生する棚があったなら(本のある場所;本は絶滅しない;いつも通り;手わたす;書店からはじまるフェミニズム ほか)
2 橙書店の本棚から(「普通の家族」とはなんだろう―川上未映子『夏物語』;かそけき声に耳を傾ける―平田オリザ『わかりあえないことから』;自分の群れを見つけるとき―アビー・ワンバック『わたしはオオカミ』;動物の重みと温もり―伊藤比呂美『犬心』;親子だからこその葛藤―キム・ヘジン『娘について』 ほか)
著者等紹介
田尻久子[タジリヒサコ]
1969年、熊本市生まれ。「橙書店 オレンジ」店主。会社勤めを経て2001年、熊本市内に雑貨と喫茶の店「orange」を開業。2008年、隣の空き店舗を借り増しして「橙書店」を開く。2016年より渡辺京二の呼びかけで創刊した文芸誌『アルテリ』(年2回刊)の発行・責任編集をつとめる。同年熊本地震被災後、近くに移転し再開。2017年、第39回サントリー地域文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
81
記憶の中の本と著者自身が熊本市で営む「橙書店」での読書をめぐる日々のエッセイ4冊目。本書の約2/3が、西日本新聞で連載した本の紹介にあてられている。読んだことのある本があるものの、大半は知らない本が占める。ここでは店主が選書した書棚を眺めるように、読むべき本の幅を広げてくれる。熊本に行く機会があれば、喫茶とギャラリーも併設しているので、立ち寄ってみるとしよう。2024/06/06
とよぽん
63
橙書店の店主、田尻久子さんの書評エッセイ集。「年を重ねた者は若い人たちへ何かしらの義務がある」という気持ちに素直に共鳴した。さらに、田尻さんの体験的書評に、この作品をこう読むのかという思い(揺さぶり)も抱いた。この読書は12月から1月と、年をまたいで少しずつ進めたのだが、そのゆっくりさがほどよい感じで熟読になった。いつか、熊本に行って田尻さんに会いたい。2024/01/02
pohcho
60
熊本で小さな書店兼喫茶店を営まれている田尻さんのエッセイ、読書日記、書評集。書評ではなく本の紹介と書かれているが、書評の文章自体が読み物としてすごく面白くてどの本も読みたくなってしまう。何冊か既読の本があり、本の趣味も自分と似ているのかなと。エッセイもとてもよかったので他のものも是非読みたい(読メで出会えた作家さん。こういう出会いがあるから読メはいいなと思う)2024/03/25
konoha
57
とても素敵な本で、読み終わりたくないほど面白い。熊本で本屋兼喫茶店を営む田尻さんの書評エッセイ集。田尻さんの生活や本に対する考え方、橙書店の息づかいまで伝わってくるよう。どんな時も田尻さんの傍らにはいつも本がある。印象的だったのは、翻訳物には「当たり」が多いという一文。本を読むことは世界を学ぶことだと改めて気付かされる。翻訳文学の割合が多いという橙書店の本棚をいつか見てみたい。巻末の索引まで本への愛情に満ちている。読書好きな方にぜひ読んでほしい。2024/02/11
Roko
42
田尻さんは、ギャラリーも併設した喫茶もできる新刊書店「橙書店」の店主でらっしゃいます。この本に収められているエッセイも、本の紹介文も、とにかく本が好きだという気持ちが溢れています。この一文が素晴らしいのです。『私は自信をもって翻訳文学をおすすめしている。翻訳物には「当たり」が多いと思っている。他国で刊行されている時点で、その本にはすでに多くの読者がいるはずだから。』さすが書店主だけあって、田尻さんが紹介してくださる本は読んでみたくなるものばかりです。ぼちぼちと、お勧めの本を読んでみることにしましょうか。2023/10/27




