内容説明
ペコロスこと漫画家・岡野雄一が描く、老いとぼけと家族の物語。童謡のような漫画短編集。
目次
母と暮らしてた頃
陽だまりのグループホーム
父ちゃん
母の気配
海の向こう 空の向こう
桜の木の下
寄る年波
満天の星
生まれる
語らふ声
いまここ
木魚じいさん1
木魚じいさん2
みつえ
著者等紹介
岡野雄一[オカノユウイチ]
漫画家、自称シンガーソングライター。1950年長崎市生まれ。40歳で長崎にUターンし、「ちょいぼけ」が始まった母みつえさんとの日々を、長崎のタウン誌に描き始める。2012年に『ペコロスの母に会いに行く』(西日本新聞社)を刊行。同作で第42回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞し、25万部を超えるベストセラーとなった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
厩戸皇子そっくりおじさん・寺
71
このシリーズはいつも素晴らしい。しかし私の仕事柄、読む事に義務感を覚えてしまい、宿題のように気が重くなる面もある。それでも重くなってしまった腰を上げるように読み始めるとやはり素晴らしいのだ。介護を取り巻くファンタジーと幻想。長崎の戦争が影を落とす悲しみを暖める眼差し。いつもの事ながら岡野雄一特有の表現力に舌を巻く。近頃私は木山捷平の小説を読んでいるのだが、岡野さんの亡父の酔いざまと、木山捷平の飲酒とにふとシンクロするものを覚えてハッとする瞬間があった。岡野さんのお父さんの短歌もまたいいのだ。これもお薦め。2019/09/01
itica
69
前作から7年後の続編。すでにお母様が亡くなり、ご両親の気配を感じながら、かつての日々を4コマ漫画で描く。正直、目新しいことは何もないのだけれど、母親の子供に対する思い、逆に子供の親に対する思いが感じられ、そこに家族の在り方を見る。被爆した父や被爆二世の著者は、それを知らない人たちより「生」に対する思いが特別なのではないかと想像する。「生きとかんば、どげんでんなる」と言う母親の口癖は原爆を乗り越えたからこその言葉ではないのかな。「とにかく生きて下さい」そのメッセージは多くの人に届くだろう。 2019/06/19
fukumasagami
37
生と死を行き交う様が、現実なのか幻なのか、きっと、忘れていくことが、失っていくことなのだ。2022/03/20
二分五厘
30
読むたびにみつえさんとペコロスさんが、やはり母と自分に被る。認知症だけど、まだ頭以外は達者な母。それでも自分に対して、近頃は口数が少ない。どことなく他人行儀な感じがする。30分前の事も忘れてしまう母だけど、忘れられてもいい、それでもやはり会いに行こう。そう思わせてくれる本。「さっきまでお父さんがいた」親父4年前に亡くなったんですけど(笑)きっと気配や声が聞こえているんだろうなぁ。訪ねて来るのはいいけど、まだそっちには行かさんけんね。母ちゃん泣かせとった分、まだ一人でおれ、親父。「一日でも長う生きとこうで」2019/08/18
サルビア
28
読みたかった本でした。方言で書かれているのがちょっと読みづらかったです。認知症を発症した母、みつえさんと暮らす日々は辛いことと、楽しい(語弊がある。他に言いようがない)ことの繰り返し。ボケるということは子どもに帰ること。みつえさんの若い頃の辛い日々には涙する。ちょっと読んでいて辛かったのは、みつえさんが自分のうんちを便所の壁になすりつけたところ。それを拭き取っている息子。現実にもこういうことはありえるだろうなと思って辛かった。2019/08/25