内容説明
ハプスブルク帝国とオスマン帝国は、ボスニア併合をきっかけに対立した後、いかなる外交関係を築き、諸問題に対応したのかを検討する。その際、これまで一般に論じられている、オスマン帝国を客体に、ヨーロッパ列強を主体とする外交史研究の形態には見られなかった、オスマン帝国自身の外交を軸に、外交交渉を明らかにする。そして、青年トルコ革命を経て、立憲制へと生まれ変わったことで逆にオスマン帝国内部が一層流動的になったという状況において、軍事衝突を回避できたボスニア危機と、回避できなかったリビア戦争、バルカン戦争そして第一次世界大戦に至る過程を検証する。
目次
第1章 第二次憲政期のオスマン帝国の外交とボスニア危機
第2章 オスマン帝国における外国郵便局撤廃に関する考察
第3章 ハンガリーとボスニア・ヘルツェゴヴィナ
第4章 陸軍参謀総長コンラートとバルカン問題
第5章 リビア戦争に至るハプスブルク・オスマン両帝国の外交交渉
第6章 イスタンブル駐在外交団
第7章 世界大戦への軌跡
著者等紹介
藤由順子[フジヨシジュンコ]
東京都生まれ。1998年明治大学大学院政治経済学研究科政治学専攻博士後期課程修了。同年、明治大学政治経済学部講師を経て、2001年より、東京理科大学理学部教養学科にて政治学担当。博士(政治学)。専攻は外交史、オスマン帝国・ハプスブルク帝国を軸とする
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