内容説明
ポスト構造主義とポストモダン。今なお続く混乱と疑惑と誤解のなかにあるこの思想を、机上の論ではなく実践という断面からバッサリと斬って見せます。本書ならではのわかりやすさです。
目次
第1部 ポスト構造主義の背景(ポスト構造主義とは?;現代思想としての条件;構造主義の衝撃)
第2部 ポスト構造主義の登場(構造主義の彼方へ;ポスト構造主義の思想;ポスト構造主義の多様性)
第3部 ポスト構造主義の展開(男性と女性:フェミニズム;西洋近代と国家;ポスト構造主義批判;日本のポスト構造主義)
著者等紹介
小野功生[オノコウセイ]
1956年生まれ。国際基督教大学教養学部人文科学科卒業、カリフォルニア州立大学ポモナ校大学院修士課程修了、国際基督教大学大学院比較文化研究科博士後期課程満期退学。筑波大学、鳴門教育大学を経て、フェリス女学院大学教授
大城信哉[オオシロシンヤ]
1959年生まれ。立教大学卒業、同大学院を経て学習院大学大学院人文科学研究科前期課程修了。琉球大学、沖縄県立芸術大学非常勤講師。専門は西洋宗教思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェルナーの日記
100
ポスト構造主義は、言葉の意味、歴史の流れから観れば、構造主義の後にくる思想ということになるだろう。しかし本質から観れば、構造主義という思想の誕生と同時に、ポスト構造主義も内含していた。世界(ここで意味する世界とは、人間社会だけではなく、自然や法則といった機能として装置という意味)の捉え方の違い、スタンスの方向性が違うだけである。構造主義は、世界という多様性の中から共通項を見いだすことで、ポスト構造主義は、多様性の差異(多数項)を見いだすこと。つまりミース・ファン・デル・ローエの「神は細部にやどる」なのだ。2015/06/02
ひつじねこ
5
個別の思想にある程度の知識があって概観を把握し直すにはいいのだろう。けれど各思想を簡潔にまとめすぎて言葉足らずとなり、一から把握しようとする者は概観を掴むことすら妨げられる。このシリーズの「構造主義」を読んでいればあるいは違ったのかもしれない。やはり複雑な思想を理解するためにはお手軽本では不充分なのだろう。また、この手の入門書は過去の思想の分析には適しているが現在進行形で発展しているものには不向きだ。ポスト構造主義は未だ方向性が定まっていないのだから、主な論者にあたりつつ自分で構築していくのが必要なのだ。2015/05/25
カザリ
4
すごく疲れた。ので前半しか読めなかったけど知識から知恵にしようといっしょうけんめい読んだら救われる考え方が多い。愛情を感じる説明だった2014/02/15
チャック
4
ある思想を紹介したと思ったら次の章ではその思想を否定した思想を取り上げたり、戻ったり進んだり、ちゃぶ台返ししたり。 んで、やっと読み切りました。ポスト構造主義ってなんぞやって問いに、謎が余計深まったので、ソシュールとかレビィ・ストロースとかいろいろ読みたくなりました。2013/08/21
T2C_
3
構造主義→ポスト構造主義、あるいはポストモダニズム→実用、批判、日本の現状、という流れ。○○主義と一括りにしてしまうには多義的過ぎる事が身に沁みたか。それと、「私」が余りにも薄過ぎて(形成に自己が関わる余地が少な過ぎて)、p80に記述されていたように可能なのは現実をただ眺めるだけ、という思想にシフトしつつあるかもしれない。し、現代思想でそれを克服出来ているかといえば、この書籍に書かれている限りでは克服出来ていない印象を受ける。今後はこの冷淡さに熱を注ぐ方向で様々な思想に触れ、考えて行けたら嬉しい。2015/11/03