出版社内容情報
人類の手により地球システムが変容を遂げた危機の時代に、どう向き合うべきか。最も信頼できる著者らが、あらためて地質学的背景から社会的意味まで、系統的かつ包括的にわかりやすく語る。人新世を長大な地球史の流れの中に明快に位置づけた、「文系」「理系」を横断する待望の入門書。
【目次】
序 文
日本語版への序文
謝 辞
第1章 多分野横断的な人新世
問題でなく危機的状況
規模、因果関係、意味の理解を妨げる障害
2種類の尺度
人類の生存をどうみるか
強制力と力
むすび
第2章 人新世の地質学的な背景
地質学の中の私たちの時代
中年期の地球
地球上の動きを解剖する
長期間続く地球の変化
酸素の変化
気候の変化と地球システム進化への序曲
動物の進化
今日の累代 -- 生物学的側面
今日の累代 -- 気候の側面
第3章 地質年代単元としての人新世と大加速
太古の地球の発見
地質年代尺度の構築
人新世コンセプトの先行者たち
ポール・クルッツェンの提唱
地質学的分析
人新世はいつ始まったのか?
大加速とその地質学的遺産
人新世の物理的堆積物
人新世の化学シグナル
人新世の生物学的シグナル
人新世の公式の未来
第4章 人新世と気候変動
気候制御 -- 惑星の背景
人間要因
産業の証
温度の影響
古くて新しい気候フィードバック
人新世の気候フィードバック
人新世における気候の影響
海面上昇
第5章 人新世と生物圏の変容
生物圏
地球規模で均質化した動植物相
作り替えられた島の生態系
作り替えられた大陸の生態系
人が改変した景観
人が改変した生物圏
一つの動物門の絶滅の予兆
人類の消費と生物圏
増大する人類のエネルギー利用
テクノスフィア
生物圏の近未来の軌道
テクノスフィアと生物圏は共存できるか?
第6章 人新世のアンスロポス
古人類学、考古学、人類学
人新世史に火をつける
むすび
第7章 惑星限界の経済学と政治学
経済学の主流 -- 善としての成長
環境経済学 -- 政治を変えずに自然を市場に出す
エコロジー経済学 -- 市場を自然と政治に従属させる
エコロジー経済学の提案
人新世への適合 -- グローバルノースへの提言
人新世への適合 -- グローバルサウスへの提言