出版社内容情報
ヴェールに覆われた
全体像を解き明かす
御料地経営や証券投資、恩賜などの経済・財政の展開から皇室の公私や民衆との関係を大きく位置づけなおすとともに、国務と並び立つもう一つの国制の体系を浮かび上がらせる。戦後の皇室が抱える葛藤も照らし出す、刮目の成果。
内容説明
御料地経営や証券投資、恩賜などの経済・財政の展開から皇室の公私や民衆との関係を大きく位置づけなおすとともに、国務と並び立つもう一つの国制の体系を浮かび上がらせる。戦後の皇室が抱える葛藤も照らし出す、刮目の成果。
目次
序章 もう一つの近代日本政治史
1 皇室財政の制度と実態(皇室財政の確立―明治期;皇室財政の展開―大正・昭和期)
2 皇室財産をめぐる法と政治(皇室財産課税問題の展開―一八九〇~一九二〇年;御料農地経営の展開―一八八九~一九一八年 ほか)
3 御料地から見える近代天皇制(御料農地における争議―北海道上川郡神楽村の事例;御用邸地をめぐる諸主体―神奈川県足柄下郡小田原町の事例)
終章 近代天皇制の構造とその遺産
著者等紹介
加藤祐介[カトウユウスケ]
1986年生まれ。2017年一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。北海学園大学法学部講師等を経て、一橋大学大学院社会学研究科講師、博士(社会学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
16
近代天皇制の構造を皇室財政を元に論じている。皇室は公的な存在であると同時に私的な領域も有するという内閣側と、皇室は私的な領域を有しないという宮内省側の皇室観の相克。皇室財産への課税問題の議論、特に皇室財産令の制定過程においての法解釈議論は大変興味深い。皇室財産は公的な財産であるがゆえに国家が課税することは無意味であるとの解釈が採用される。戦後の象徴天皇制に移行する過程で皇室典範と皇室令が効力を失い皇室自律主義が解体される。皇室財政を通して、近代日本政治史の一端が垣間見える。2024/11/25
いとう・しんご
10
読友さんきっかけ。くしくもパールハーバーの朝に読了。明治期に創出された「天皇」という虚像を演じ続けた歴代皇族とその演出家としての宮内省の歴史を財務面から丁寧に解きほぐしている、良い意味でとても堅実な研究書。一見、中立的に見えながら国有地を皇室財産に組み替えた事実P174や終戦の年に国債を現金に換価したことP156などに注意を促していて、とても慎重なスタンスを守りながらも見るべき所はちゃんと見ているという印象。参考文献には面白そうな本も色々と紹介されていて、そっちも収穫でした。2024/12/08
takao
2
ふむ2024/09/25
あまたあるほし
0
小田原城下げ渡しの話がめちゃくちゃ面白い。2023/10/26