内容説明
日本独自の宗教現象だと考えられてきた「神仏習合」。しかし、神信仰と仏教の融合はアジア各地域で広く見られる。インド・中国から北東・東南アジアまで多岐にわたる「神仏融合」の実態を解き明かし、一国史的な認識を超えて新たに日本の宗教文化を捉え直す。
目次
東アジアの神仏融合と日本の神仏融合
多神教としての仏教とその東流―東アジア仏教における神仏信仰の基盤
第1部 中国における神仏融合の歴史的諸相(「神」「仏」理解からみた中国宗教;敦煌における儒教と仏教 ほか)
第2部 東アジアにおける神仏融合の地域的展開(祭山儀にみる契丹の信仰―謁菩薩堂儀の位置づけをめぐって;ベトナムの神仏融合と道教 ほか)
第3部 東アジアのなかの日本の神仏融合(鬼と神と仏法―インド・中国・日本:役行者の孔雀王呪法を手がかりに;地天の変容―毘沙門天の脚下で ほか)
第4部 日本における神仏融合の歴史的展開(古代における神仏の融合;平安時代における神の変容―神仏融合と神仏隔離 ほか)
神仏習合説形成史の批判的考察
著者等紹介
吉田一彦[ヨシダカズヒコ]
1955年東京都に生まれる。1986年上智大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。現在、名古屋市立大学大学院人間文化研究科教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鴨長石
2
仏教は、日本では土着の神道と混合しながら受容されていった。これを従来は神仏習合と言ったが、実は日本だけでなく、アジア各地で同じような現象を起こしていた。それを暫定的に「神仏融合」と呼び、さまざまな角度から検証した書である。仏教はその理論の性質上、多神教と融和性が高く、儒教や道教と交わるのも必然と言えた。東アジアを大きく俯瞰して歴史・哲学・宗教・文化などを考えるという態度は、これからよりいっそう求められるだろう。今後の研究に期待したい。2022/03/25
Go Extreme
1
東アジアの神仏融合と日本の神仏融合 多神教としての仏教とその東流 中国:「神」「仏」理解からみた中国宗教 敦煌における儒教と仏教 宋代の水陸会にみる三教融合 明清時代の祠廟信仰と仏教 東アジア:祭山儀にみる契丹の信仰 ベトナムの神仏融合と道教 台湾における道教と仏教 日本:鬼と神と仏法 地天の変容 ガラン神考 観音・媽祖・マリア 日本における神仏融合の歴史的展開:古代における神仏の融合 平安時代における神の変容 中世の神と仏 中世の神仏関係から近世へ 神仏習合説形成史の批判的考察2021/04/02
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