内容説明
われわれは科学をどう考えてきたのか。科学の営みや社会との関係をめぐる言説は、維新から対米戦までの歴史の流れに呼応して、劇的に変転した。文明開化、教養主義の時代を経て、科学を標榜し革命を起こしたマルクス主義の衝撃と、それを契機に誕生した日本主義的科学論など多様な議論の展開を、初めて一望する力作。
目次
第1部 科学と出会った明治の日本―科学論の黎明(「科学」の語が意味したもの;天皇の国の科学と科学論―明治期の諸相)
第2部 学問的科学論の試み―教養主義と理想主義の科学論(桑木〓雄の科学史と科学論―変革との対峙;田辺元の哲学と科学論―方法と実在;石原純の物理学と科学論―自然科学と世界形象)
第3部 諸潮流の形成と展開―マルクス主義の衝撃(マルクス主義科学論の勃興―科学の階級性と自然弁証法を中心に;篠原雄と綜合科学;武谷三男の三段階論)
第4部 日本科学論の誕生―科学との対峙から「科学する心」へ(思想統制と科学論―一九三〇年代前半の国民精神文化研究所を中心に;教学刷新と科学論;日本文化としての科学;科学する心―文相橋田邦彦とその周辺)
第5部 戦う帝国の科学論―科学精神と日本精神の昂揚と焦燥(綜合科学を枢軸とする積極的世界建設―戦時下の篠原雄;日本科学論の展開;革新官僚の科学論―精神と生活の科学化;戦時下の科学―純粋科学と応用研究、日本精神と科学精神)
著者等紹介
岡本拓司[オカモトタクジ]
1967年愛知県蒲郡市生まれ。1989年東京大学理学部物理学科卒業。1994年東京大学大学院理学系研究科科学史・科学基礎論専攻単位取得退学。新潟大学人文学部助手などを経て、東京大学大学院総合文化研究科教授、東京大学博士(学術)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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