内容説明
過剰な期待と歪んだ批判の狭間で、実像とかけ離れたイメージが作られてきた日教組。膨大な非公開史料や関係者へのインタビューに基づき、学術的にその歴史を徹底検証―。上巻では、戦後の労働運動での立ち位置から、独自の教育理念や「教師の倫理綱領」の作成まで、初期の模索を跡づける。
目次
第1部 結成と模索(日教組の歴史を検証する;総評結成前の立ち位置の選択;一九四九年度中央執行委員の分類;労働戦線分裂と政治情勢変化の中で;法的地位の変化とその影響;マッカーサー書簡、政令二〇一号と日教組;スローガン「教え子を再び戦場に送るな」の誕生;「教師の倫理綱領」の作成過程;結論に代えて)
著者等紹介
広田照幸[ヒロタテルユキ]
1959年生まれ。1988年東京大学大学院教育学研究科修了。南山大学文学部助教授、東京大学大学院教育学研究科教授などを経て、日本大学文理学部教授、日本教育学会会長。著書『陸軍将校の教育社会史』(世織書房、1977年、サントリー学芸賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Masakazu Fujino
12
非常に面白かった。今まで様々考えていた日教組結成時から50年代の日教組の立ち位置が実証的に当時の資料を中心に検証され、今までそうではないのかな?と思っていたことが裏付けられた。厳しい状況の中でも執行部の交代や分裂をせず、幅広い結集を追求しようとした人々の姿が浮かんでくる。全ての章を、とても興味深く読んだ。どの章も興味深く面白かったが、特に個人的に面白かったのは、第4章「法的地位の変化とその影響」と第6章「スローガン『教え子を再び戦場に送るな』の誕生」だった。人の記憶というのは作られ、変化していくのだ。2020/04/20
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1
「教え子を再び戦場に送るな」という有名なスローガンがどのような経緯で生まれたのかハッキリしてなかったのには驚いたし、その経緯を見事に推理してみせた第六章は良かったが、全体的には「加藤陽子の書評褒めすぎ」という印象。2020/05/23