内容説明
個々人が自らの情念にしたがって利益を追求する社会は調和しうるのか―この政治経済学の問いは、あからさまに美学的であり、しかも近代英国の道徳哲学から文学までを貫く根本問題だった。テクストの精読により、イデオロギーの構造と展開を批判的に跡づけ、思想史と文学研究を編みなおす画期的労作。
目次
第1部 道徳哲学における美学(シャフツベリーにおける美学と批評;趣味の政治学―マンデヴィル、ハチソン、ケイムズ;ヒュームの趣味論;ヒユームの虚構論;ヒューム、スミスと市場の美学;バークの崇高な政治学―『崇高と美の起源』から『フランス革命の省察』へ;身体の「崇高な理論」―マルサスの『人口論』における反美学主義;市民社会と家庭―メアリー・ウルストンクラフトの『女性の権利の擁護』)
第2部 文学における政治・法・商業(家庭小説の政治学―リチャードソンの『パミラ』;徳と法のあいだ―リチャードソンの『クラリッサ』;商業社会の英雄譚―『序曲』におけるワーズワスの記憶術;ワーズワスと崇高;『フランケンシュタイン』と言語的崇高;コールリッジの『文学的自叙伝』―商業、文学、イデオロギー;コールリッジの政治的象徴主義―『政治家必携』における修辞法とイデオロギー;国家を美学化するということ―コールリッジの後期作品における文化理論の形成)
著者等紹介
大河内昌[オオコウチショウ]
1959年生。1983年東北大学文学部卒業。1987年東北大学文学研究科博士課程中退。東北大学文学部助手、山形大学人文学部教授などを経て、東北大学文学研究科教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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