内容説明
とめどなく生み出される無数の「辺境」―そこではなにが生起するのか。中世イベリア半島を舞台に、従来のレコンキスタの図式を排して、征服=入植運動、封建制、商業の展開プロセスを実証的に解明。ラテン・ヨーロッパをも見通す新たなモデルを導き出す。
目次
第1部 アラゴン北部における封建的空間編成の展開(ウエスカ地方の城塞・定住・空間編成;シンカ川中流域の城塞・定住・空間編成;都市ウエスカの定住と空間編成)
第2部 アラゴン南部における封建的空間編成の展開(一三世紀の「辺境」と封建的空間編成の展開;テンプル騎士団領の定住・流通・空間編成;サラゴーサ司教領の定住・流通・空間編成)
「辺境」の遍在
補論1 オリジナルとカルチュレール
補論2 カルチュレールと公証人登記簿
補論3公証人登記簿と商品交換
著者等紹介
足立孝[アダチタカシ]
1970年愛知県に生まれる。1999年名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程修了。弘前大学人文学部准教授などを経て、広島大学大学院文学研究科准教授、博士(歴史学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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人生ゴルディアス
2
債務弁済形式で結ばれる小麦取引のところが納得できない。合理的な理由がわからないから、これは地元名士が民衆の貨幣需要を満たすため公共事業的に買い付けていたとするが、先物には価格の上下以外にも価格差に賭ける取引手法があり、その視点で考えなおすと、件の取引はA村とB村の小麦の価格差が季節をまたいで思惑通りになれば、価格が上がろうと下がろうとどちらからも利益を取れる構造になっているから、変な理屈は必要ない。気がする。著者は単純な先物取引とみているようだが、弁済の現物量が不確定だからむしろオプション取引に近いのでは2020/07/10