内容説明
政治における代表とは何か。選挙で選ばれたことか、権威を有することか、説明責任を果たすことか、それとも国民の構成を反映していることか。「代表(representation)」の語義に立ち戻り、ホッブズの議論から自由主義まで、思想の土台より政治的代表の意味を徹底的に検討し、代表論の古典となった名著、待望の翻訳。
目次
第1章 序論
第2章 トマス・ホッブズの問題
第3章 形式主義的代表観
第4章 「写し出す」―描写的代表
第5章 「写し出す」―象徴的代表
第6章 「誰かのために行為する」ものとしての代表―類比
第7章 委任―独立論争
第8章 人間にかかわらない利益を代表する―バーク
第9章 利益を有する人びとを代表する―自由主義
第10章 政治的代表
補遺 語源について
著者等紹介
ピトキン,ハンナ[ピトキン,ハンナ] [Pitkin,Hanna Fenichel]
1931年ベルリン生まれ。カリフォルニア大学バークレー校名誉教授。The Concept of Representationによって1997年にリッピンコット賞を受賞したほか、2003年には最も権威ある政治学の学術賞であるヨハン・スクデ政治学賞を贈られている
早川誠[ハヤカワマコト]
1968年神奈川県生まれ。東京大学大学院法学政治研究科修了、博士(法学)。立正大学法学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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てれまこし
9
「代表」とは? ポピュリズムにおいてはこれが問題になった。既存の政府、政党、政治家は人民(国民)を代表してないというのがポピュリストたちの主張だったからだ。それで代表概念研究の古典である本書が再び注目を浴びたらしい。代表(representation)の語源はラテン語だけど、ローマ人たちはぼくらが使うような政治的代表にも法的代理の意でもこの語を用いなかった。そうなったのは歴史的偶然なんだが、「代表」は多義的な語。しかし、代表に関するいずれの政治理論もそのうちに一面だけを切り取ってるがゆえに不十分なもの。2025/04/06
Ra
0
贈られ本をやっと読了。訳者あとがきから拝借すれば、「私たちが日常的に「代表」という概念で意味している事柄を」分類し、それぞれについて「多彩な例を引きながら、その分類での「代表」という概念にはどのような特徴があるのか、またその特徴からどのような政治的帰結が生じるのか、が論じられる。」「個々の代表観をどれほど詳細に分析してもそれだけでは代表の概念を適切には理解できない、というのが本書の主たるメッセージ」。若干だが言葉遊びと思ってしまうのは、この切り口の論述に熱量もって入り込めないからか。副読本としては一級品。2020/05/03
日系フサリア人
0
代表感について分類し分析するもの。権威授与型であったり象徴型、説明責任型等。代表とはこうあるべきと言った価値判断を行いものではない。が、非常に興味深い。そして同時に難しい。ゆっくり読んでも数パーセントも理解できない。頭が痛くなる。最後までしっかり読むことができなかった。2018/07/02