内容説明
進学、就職、転職、結婚、出産など、人生の岐路で大きな決断を迫られたとき、人は合理的に選択することができるのか。何かを選ぶことで、今とはまったく違う自分に変わってしまうかもしれないというのに―。誰しもが悩む「変容の経験」、その実存的な問いを分析哲学の視点から考える注目作。
目次
第1章 ヴァンパイアになる
第2章 変容的な選択(経験は最良の教師である;規範的な基準;主観的な熟慮;変容的な決断)
第3章 人生の選択(感覚能力;子をもつ選択をすること;時間的に広がりのある自己)
第4章 新たなものの衝撃
補論 意思決定(一人称的な選択;根本的同定問題;インフォームド・コンセント;合理的な依存;不確定な価値;フィンク的な選好;あいまいな信憑度;階層ベイズ・モデル;気づきがないこと;結論 啓示)
著者等紹介
ポール,L.A.[ポール,L.A.] [Paul,Laurie Ann]
プリンストン大学にて博士号を取得。イェール大学、アリゾナ大学などで教鞭を執り、現在、ノースカロライナ大学チャペルヒル校教授。形而上学、心の哲学、科学哲学、認知科学の哲学、形式認識論などの領域を中心に活躍する気鋭の哲学者
奥田太郎[オクダタロウ]
1973年生まれ。南山大学人文学部教授
薄井尚樹[ウスイナオキ]
1978年生まれ。三重大学人文学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
taku
17
そうだったのか!「おれは人間をやめるぞ!ジョジョーッ!!」と宣言したディオも、変容を冷静に判断して選択していたのだ。そこにシビれる!あこがれるゥ!タイトルがユニークでテーマも良いわりに、中身は当たり前のことを繰り返している気がしてならない。だが、その当たり前を実践することが難しいのだ。貧弱ゥ!な意思ではいけない。思考に論理を!選択に合理を!そして、決断に意志を!未来を選べッ!WRYYYYYYY! 2018/12/27
ヒナコ
11
未知の感覚を得るだけでなく、自分自身の人格そのものが変わってしまう種類の経験が存在する。著者はそれを「変容的な経験」と呼び、妊娠・出産・子育ての経験や、ろう者が人工内耳を埋め込む経験や、職業のキャリアを重ねることが、その経験に当たると言う。本書は、こうした経験することで自分の価値判断基準や感覚が変わってしまうような経験を、人間がヴァンパイアになりヴァンパイアとしての価値規範を獲得するという想定として言い換えつつ、「変容的な経験」をするか/しないかを選択するような合理的判断はあり得るのかを思考している。→2022/04/13
Ex libris 毒餃子
5
意思決定論についてのみトコトン詰めた本。ヴァンパイアになる、という未知の経験をどのように選択することが出来るか、から始まり、ドリアンの味や子を持つなどの卑近な例に近づいて議論を展開するため、分かりやすい。2018/04/06
garyou
3
原題は"Transformative Experience"。あることを経験したらいまの自分とはまた違う自分になってしまうようなことを体験するかどうか決める際に何を決め手に判断するのか。例えばヴァンパイアになれるとして、なるかどうかどう判断するのか。解説によるとこの本を読んだあと「ジョジョの奇妙な冒険」を読み返すといいのだそうな。2017/11/14
Go Extreme
2
ヴァンパイアになる 変容的な選択: 経験は最良の教師である 規範的な基準 主観的な熟慮 変容的な決断 人生の選択: 感覚能力 子をもつ選択をすること 時間的に広がりのある自己 新たなものの衝撃: 補論 意思決定 一人称的な選択 根本的同定問題 インフォームド・コンセント 合理的な依存 不確定な価値 フィンク的な選好 あいまいな信憑度 階層ベイズ・モデル 気づきがないこと 結論 啓示2022/01/24