内容説明
資本主義経済の不安定性を解明したミンスキーなど、近年あらためて注目を集めるポスト・ケインズ派。その核心をなす貨幣・金融理論の着想源や展開過程を解き明かし、最新の動向を踏まえて学派の全体像に迫るとともに、新自由主義に代わる経済政策を展望する挑戦の書。
目次
正統派経済学への挑戦
第1部 ポスト・ケインズ派経済学の歴史と現状
第2部 ポスト・ケインズ派における貨幣・金融理論の展開
第3部 ミンスキーの金融不安定性理論の可能性
第4部 カレツキと現代経済
ポスト・ケインズ派経済学の課題と展望
著者等紹介
鍋島直樹[ナベシマナオキ]
1963年鹿児島県に生まれる。1987年早稲田大学教育学部社会科学専修卒業。1993年一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程単位修得退学。富山大学経済学部助教授などを経て、名古屋大学大学院経済学研究科教授、京都大学博士(経済学)。著訳書に『ケインズとカレツキ―ポスト・ケインズ派経済学の源泉』(名古屋大学出版会、2001年、第1回経済学史学会研究奨励賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぽん教授(非実在系)
3
ケインズの長期・動学化、貨幣内生説、賃金主導型経済成長論など。低賃金カルテルの経済学的理論基盤については、ケインズ以上にカレツキの方がより突っ込んだ話をしている。カレツキの生涯もまた、ケインズと同じように孤高の予言者であった。未来を見えすぎる人は孤独である。2018/03/21
好奇心の横断歩道を渡る!
1
MMTの「実物資源のひっ迫や失業が問題であって、インフレ率は重要ではない」という問題意識は、ポストケインジアンからの伝統だったようだ。/ポストケインズ派にとって、インフレの主要因はコストプッシュ型のインフレであり、とりわけ賃金上昇が物価に与える影響が大きいとする。/経済の成長経路は供給側の要因によってあらかじめ決定されているのではなく、成長経路それ自体が総需要によって影響を受ける。このような意味において、ポストケインズ派は、経済成長が経路依存的な性格を持つと考える。などなど。2021/09/22