内容説明
ネッロに地代の支払いを求めたチェッコーロ、重税の免除を願い出たヤコポ、ジョヴァンニ、トゥーリ…。私的な利害に突き動かされて法廷に立つ市井の人びとが、その訴えを通して秩序に息を吹き込み、正義と公共善の結びあいを絶えず更新していく動態を、未踏査の裁判記録から明らかにした力作。
目次
第1部 イタリア都市の司法と政治(コムーネと司法―一二世紀~一四世紀;ルッカを見る―政治、行政、司法、社会;史料と史料論)
第2部 住民がつくるコムーネと正義―民事司法(人びとはなぜ法廷に向かったのか;訴えによるコムーネの実現;司法原理の転換―法形式の遵守から自由裁量へ)
第3部 政治のなかのコムーネと正義―刑事司法(刑事司法の実態;恩赦に見るコムーネと正義;例外的司法に見るコムーネと正義)
訴える人びとがつくる世界
著者等紹介
中谷惣[ナカヤソウ]
1979年大阪府豊中市に生まれる。2002年熊本大学文学部歴史学科卒業。2005年フィレンツェ大学留学(イタリア政府給費留学生)。2009年大阪市立大学文学研究科後期博士課程修了。現在、信州大学教育学部助教、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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