内容説明
「論」から「学」へ―。成熟した中国経済研究からエッセンスをつかみ出し、所有・市場からガバナンスやイノベーション、対外援助、さらには腐敗・格差まで、生動する独自の経済システムを、長期的なパースペクティブのなかでトータルに説き明かした。
目次
中国経済学への招待―中国研究のさらなる進化を目指して
第1部 基礎篇(「曖昧な制度」とは何か―制度の内生的変化の視点;「曖昧な制度」はいかに形成されたか―歴史、風土と社会主義の実験)
第2部 応用篇(進化する土地の集団所有―請負制から土地株式合作社へ;市場なき市場競争のメカニズム―成長至上主義からの脱却;混合所有企業のガバナンス―ナショナル・チャンピオンを創り出す;中国式イノベーション―「曖昧な制度」が促進する技術革新;対外援助の中国的特質―グローバル・スタンダードへの挑戦)
第3部 課題篇(腐敗の政治経済学―「曖昧な制度」がもたらした成長と腐敗;中国の格差問題を考える―「曖昧な制度」は格差を拡大したか)
中国経済学の展望
若き中国研究者へ―赤の女王の走りと異邦人のまなざし
著者等紹介
加藤弘之[カトウヒロユキ]
1955年愛知県に生まれる。1979年大阪外国語大学外国語学部卒業。1981年神戸大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。現在、神戸大学大学院経済学研究科教授、博士(経済学)。主著『中国の経済発展と市場化』(名古屋大学出版会、1997年、大平正芳記念賞)他(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Cheryl Wu
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中国式の国家資本主義はどのようなものなのか。なぜ成功したのか。これからグローバリゼーションの波に乗って市場経済を徹底化させて発展していくのか。「曖昧な制度」をキーワードにして中国の歴史から制度の独自性を捉え直し、実際中国の現在についても幾分予測がついた。習氏が主導した中国の政策の転向は、この本を読んだ方々に驚かせることはないだろう。なぜなら、「曖昧な制度」はあくまで専制政治が力をつけるため、民間社会への猶予期ぐらいのものだ。時期が来ると、この集権体制は必ずまた動き出す。もう誰にもとどめられなくなっている。2018/10/01
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