内容説明
ヴェトナム戦争時の暴動からWTCの再建現場まで、その「愛国主義的」な行動が注目されてきたニューヨークの建設労働者たち。インタヴュー資料をもとにその生活世界を内側から解明し、人種やジェンダーの境界が揺らぐ世紀を生きた人々の実像に迫る。
目次
第1部 ニューヨークに生きる建設労働者(建設労働者の形成と公権力・資本との関係;建設労働者の労働生活―つくられる絆;建設労働者とコミュニティ;労働者の日常生活と宗教)
第2部 揺らぐ境界、固執される秩序(押し寄せる変化の波―技術革新、公民権運動、分散化;固執される秩序―熟練工として;守られる境界、守るべき境界)
著者等紹介
南修平[ミナミシュウヘイ]
1969年大阪府に生まれる。2010年一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。現在、長野県短期大学多文化コミュニケーション学科助教。博士(社会学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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jntdsn13
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NYCの建設労働者が見ていた世界がいかなるものであったかを労働者のオーラルな発言も利用しつつ描き出し,その日常生活に根差した政治的な保守性の根源を探った本。代々引き継がれる職,熟練労働者や危険な任務を引き受ける誇り,それを引き立てる組合というミクロコスモス,そしてその大前提たる建設需要……これらが結合した強固なアメリカ黄金期に完成したかに見えた世界が,やがてマイノリティ雇用,そして女性の進出に揺るがされ,剥がれ落ち,どこへともしれず変化してゆくことを余儀なくされる,そんな余韻で本書は締めくくられている。2022/01/17