内容説明
難事業に挑んだ民間の技術者たち。起業にあたり自力でのインフラ建設が不可避であった時代に、鉄道、港湾、電力などの整備に奮闘し、あまたの土木技術者を育てた白石直治。彼を中心とする緊密な人的交流や、先進的技術も取り入れた大規模工事の実態を通じて、日本の産業化の基盤形成に民間が果たした役割を浮彫りにする。
目次
序章 明治期日本のインフラ・ビジネス/ビジネス・インフラと技術者
第1章 近代土木技術者と教育―もう一つのインフラストラクチュア
第2章 近代移行期の土木事業―建設業界の構造と変遷
第3章 関西鉄道―官の対岸の私鉄
第4章 若松築港―海陸連携地域開発の要
第5章 三菱の建築所―近代移行期の企業内建設機能
第6章 猪苗代水力電気―次世代に向けてのエネルギー開発
終章 白石直治をめぐる世界とその時代
著者等紹介
前田裕子[マエダヒロコ]
愛知県に生まれる。津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。民間研究所、NGO、NPO勤務を経て、神戸大学大学院国際協力研究科博士課程修了、博士(学術)。現在、神戸大学大学院経済学研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Mealla0v0
5
インフラ・ビジネスとは、民間事業体が行う社会資本的性格を持つ収益事業であり、ビジネス・インフラとは、事業(ビジネス)そのものの基盤(インフラ)の建設を指す。明治政府は率先して近代産業を牽引しモデルを提示しようと努めたが、財政難で「民活」による産業発展を奨励するようになる。官民ともにお雇い外国人に依存していたが、これは専門技能と通訳のために高コストであり、土木人材の国内要請が喫緊の課題であった。本書の主人公・白石直治はその初期の教育から生まれ官職を望まれたが民間での事業へと転身、多くの事業に関わって行く。2022/11/26
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