内容説明
地中海世界の新時代―西洋最古のグローバル化の時代であったヘレニズム期、エジプトとギリシアという二つの高文化の交錯は何をもたらしたのか。中心都市アレクサンドリアに見るプトレマイオス朝の表象戦略から在地社会の文化変容まで、エジプトでの長期発掘調査をもとに、物質史料と文字史料を総合して新たな像を提示する労作。
目次
第1部 ヘレニズム史の再構築に向けて(プトレマイオス朝エジプト史研究の新展開―「オリエント的デスポティズム」を越えて;アコリス遺跡の考古学―ヘレニズム時代を中心として;ヘレニズムへの道―アレクサンドロス以前のナイル世界とエーゲ海世界)
第2部 ナイルのほとりのヘレニズム王国(都市アレクサンドリアの成立―ヘレニズム文明の磁場の創造;セーマ・大灯台・図書館―表象とモニュメントの世界;初期プトレマイオス朝の宗教政策―支配者崇拝から王朝祭祀へ)
第3部 領域部の文化変容(プトレマイオス朝とエジプト領域部の開発―ファイユームの水利事業を中心として;採石場のヘレニズム―ニュー・メニア古代採石場の調査成果から;ローマ帝政期の軍団と採石場;ケファラスの子ディオニュシオスとその世界―前二世紀末エジプト在地社会の一段面)
第4部 在地エリートの対応(トゥナ・エル・ジェベルの「ペトシリスの墓」―イメージの文化変容;ヘルモポリスのアーキトレイヴ碑文―王権・軍団・在地エリート;ヘルゲウスの子ハコリスの磨崖碑文―甦る在地エリートの素顔;ロゼッタ・ストーン再考―王権と在地神官団との相互交渉)
第5部 東地中海とナイル世界(初期プトレマイオス朝とエーゲ海世界―ギリシア諸都市との関係を中心として;地中海の構造変動とナイル世界―南部エジプト大反乱をめぐって;地中海の海上交易とナイル世界―アコリス遺跡出土アンフォラからの考察;東地中海コイネー文化の成立―物質文化のヘレニズムをめぐって)
著者等紹介
周藤芳幸[ストウヨシユキ]
1962年神奈川県に生まれる。1984年東京大学文学部卒業。1987年ギリシア政府給費留学生としてアテネに留学(1991年まで)。1992年東京大学大学院人文科学研究科博士後期課程単位取得満期退学。日本学術振興会特別研究員、名古屋大学文学部助教授を経て、名古屋大学大学院文学研究科教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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