内容説明
老年とはたんに福祉の対象なのか。人生の最終章をむかえ、あらためて正しく生きることを考え、実践すべき時ではないのか。老人は政治にも参与すべきか。西洋古代思想にさかのぼり、見失われた正義という観点から、老年を内面から支える精神的基盤を問い直す注目の書。
目次
序章 「老いは険しい道か、楽しい道か」
第1章 西洋古代世界における老年像(西洋古代文学における多様な老年像;ホメロス世界の老年像―老賢者の理想とポスト英雄時代;ヘシオドス―人間の成熟と老後の世話;悲劇における老年―悲観的な老年像の支配とその超克;喜劇のなかの老年―世代間の争い)
第2章 文学から哲学へ―プラトンとアリストテレスの老年観(プラトンの老年論と自然学的理論―『ティマイオス』;アリストテレスの老年論と自然学的理論―『自然学小論集』;プラトンとアリストテレスの老年論の比較)
第3章 ヘレニズム・ローマ期の老年像の変遷―晩年の理想と現実(プラトンの老年論の系譜―キケロの「悦ばしい老年」;プルタルコスと老人の政治参加;セネカ―閑暇の意義;エプクロス派の老年論)
終章 西洋古代思想における老年と正義
著者等紹介
瀬口昌久[セグチマサヒサ]
1959年兵庫県に生まれる。1991年京都大学大学院文学研究科博士課程修了。現在、名古屋工業大学教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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