出版社内容情報
若きスミスが、旧来の修辞学技術を排しつつ、平明な言語・文体による率直な人間関係としてのコミュニケイションの理論を構築しようとした幻の講義。道徳哲学での同感、法学での正義、経済学での価値と並んで、近代的個人の交流を文体から捉える。グラーズゴウ大学図書館所蔵の手稿にもとづく新訳決定版。
目次:
訳者序
第二講~第三〇講
付録1 国富論とその他のいくつかのよく知られた業績の著者である故法学博士
アダム・スミスの性格と意見を明らかにする逸話
付録2 [アダム・スミス回想]
解説
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
有沢翔治@文芸同人誌配布中
6
『国富論』などを書いたアダム・スミス。彼は大学で文学と法律学を教えていた。これは複数の学生の講義録をもとに復元されており、聞き違い、脱落箇所も多い。しかし経済学と倫理学以外に、アダム・スミスがどのような分野に関心を寄せていたかを探る上で役立つ。 文学と言っても思想的なものではなく、表現技法を中心に論じており、それ故に修辞学が問題となってくる。http://blog.livedoor.jp/shoji_arisawa/archives/51516438.html2020/12/20
小島輝彦
5
国富論を読んだついでに読んでみたが深い。
毒モナカジャンボ
0
投稿してた雑誌の同人の回想で「かれは音楽に対する耳をもたなかったし、文章における崇高あるいは美にたいして、詩であれ他のどの種類の言葉であれ、理解力をもたなかったのです。彼は良俗的な美と卓越については、もっともただしい理解力をもっていたにもかかわらず、多くの趣味をもつには幾何学者でありすぎました。」と書かれる男の修辞学・文学講義であるため、講義の内容というよりこんな価値判断をする人間はどういう人間なんだという方向に興味が湧いてくる。2024/05/30