出版社内容情報
歴史から教訓を得て、いまに活かす。「歴史に学べ」とはよく言われるが、それはいったいどういうことなのか。本書は日本史における六つのターニングポイントをたどりなら、歴史を学ぶ上で、重要な理論や視点が身につけられるように構成されている。歴史を読み解く目、歴史を考える頭、歴史を語る言葉。東大教授が教える歴史の本質がわかる一冊。
内容説明
歴史から教訓を得て、いまに活かす。「歴史に学べ」とはよく言われるが、それはいったいどういうことなのか。本書は日本史における六つのターニングポイントをたどりながら、歴史を学ぶ上で、重要な理論や視点が身につけられるように構成されている。歴史を読み解く目、歴史を考える頭、歴史を語る言葉。東大教授が教える歴史の本質がわかる一冊。
目次
第1章 歴史とは何か、日本史とは何か
第2章 日本の歴史の誕生
第3章 歴史を考えるとは
第4章 日本史の定説を疑う
第5章 想像する日本史
第6章 現代につながる日本史
終章 これからの歴史学とは
著者等紹介
本郷和人[ホンゴウカズト]
1960年、東京都生まれ。東京大学史料編纂所教授。文学博士。東京大学、同大学院で、石井進氏、五味文彦氏に師事。専攻は日本中世政治史、古文書学。『大日本史料』の編纂に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
111
フランスの歴史家ミシュレは「しっかりした知識の上に立つ想像力こそ歴史を語る上で必要」という。この言葉を日本で実践している歴史学者は本郷先生だけだ。皇国史観からマルクス史観へと長いイデオロギー支配を経験した日本の史学界は、史料主義という象牙の塔にこもり「歴史を通じて日本人の来し方行く末を考える」ことを拒む。教育界も受験重視で迎合した結果、歴史は暗記科目と化し面白さのかけらもなくなった。そんな状況を打破し物語性を導入することで、現代を生きる上での必須教養として歴史を学ぼうと呼びかける。そんな時代が来てほしい。2022/05/14
チャーリブ
38
アベマテレビで著者は高校の日本史の授業が暗記科目になっていることを批判していた。鎌倉幕府の成立が何年かなど覚えても仕方ない。むしろ鎌倉幕府の成立とは何を意味するかを考えることの方が重要だという趣旨だったと思う。本書もそのような考えに基づいて書かれている。面白いなと思ったのは、著者が史実偏重の歴史学を批判して「歴史観」まで射程に入れた歴史学を目指していること。それは「大きな物語」を創ることであり、そのためには血の通った人間のドラマを想像する力が不可欠である、と私は勝手に理解したのだが。○2022/06/17
ta_chanko
19
古代史における朝廷(関西)と東国(関東)、中世における権門体制論と東国国家論、近世における朝廷と江戸幕府の関係、幕末における天皇の復権、戦前の皇国史観と戦後の唯物史観…。一口に日本史といっても、視点を変えることでいろいろな見方ができる。史料に忠実であることも大切だが、それだけでは物語や歴史観が出てこない。想像し考えることが歴史の醍醐味。我々はどこから来て、どこへ行くのか。2022/04/19
三井剛一
15
歴史学者である著者が史料偏重にならず、物語性を重要視していることが学者のイメージと違い驚いた。歴史の見方として「西高東低」、「権門体制論」、「東国国家論」は、初学者の自分にとって、見通しが立てれて、歴史を辿りやすくなった。各学者の考察の違いを知るのもおもしろそう。著者の一般人に広く、わかりやすく歴史のおもしろさを伝えようとする熱量が感じられた。磯田さん然り、学者でこういった熱意をもって発信してくださっている方がいるのはありがたい。2024/10/11
大先生
10
①壬申の乱、②平将門の乱、③鎌倉幕府、④承久の乱、⑤応仁の乱、⑥明治維新を題材に【歴史は暗記ではない。帰納法と演繹法を駆使して史料→史実→史像→史観と考えていくことは社会に出てからも役立つ】ということを解説した本です。そう考えると裁判とも少し似てますね。証拠→事実→紛争・事件のストーリーという具合に。具体的な証拠がない部分も「弁論の全趣旨」で認定する場合もあるわけですし、歴史だって、具体的史料がない部分について合理的な推論は許されるというか、むしろ必要だと思います。なかなかの良書でしたね。2023/07/15