内容説明
総督府による民間資本の動員と、財閥の思惑。戦況の悪化とともに買収・統合が繰り返されるなか、「私鉄」はいかに経営を展開し、いかに帝国を維持しようとしたのか。植民地私鉄事業の全体像を政策と経営の両面から明らかにする。
目次
植民地朝鮮と私設鉄道
第1部 政策と推計
第2部 統合と利潤
第3部 国境と拓殖
第4部 財閥と私鉄
第5部 沿線と開発
第6部 鉄道と自動車
帝国日本と植民地私鉄―日本、台湾、朝鮮、関東州、樺太
著者等紹介
林采成[イムチェソン]
立教大学経済学部教授。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了、博士(経済学)。専門は経済史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
BLACK無糖好き
10
植民地朝鮮における私設鉄道事業の経営史。前作の『東アジアのなかの満鉄』同様に、非常に細かいデータを収集して路線ごとの経営分析を試みている(表やグラフが充実)。朝鮮の私鉄は、より幹線網的性格を持ち、総督府の誘致保護下で資源開発や沿線開発において重要な役割が要請されていた。単に鉄道事業に特化したわけではなく、自動車業など経営多角化にも取組み、地域開発にも一定の役割を果たしていたようだ。日本内地からの鉄道投資を促すための効果的な補助金制度の仕組みも興味深い。国営代行としての性格も垣間見える。2025/12/04




