内容説明
地方医師たちの目は、国家の建設へと向けられた。ポーランドのマンチェスターと呼ばれた多民族都市ウッチ。地方医療を牽引した医師たちは、労働者家庭の子どもの貧困や結核、衛生問題と対峙した。彼らはやがて自治体の行政に参画し、新生国家の屋台骨を支えることになる。医師の“専門労働”からポーランド史を刷新する画期的叙述。
目次
医師からみるポーランド近代史
第1部 地域医療の模索(一八九〇‐一九一四年)(「地方」に科学を伝える―ウッチ市の医師の歴史的位相;労働者家庭に介入する―医師の実践と構想;モラルと営利を両立する―医師の職業倫理)
第2部 都市自治の追求(一九〇五‐一九二〇年)(都市の政治に参加する―失業者支援と市民委員会;制度を設計し、実行する―転機としての第一次世界大戦;子どもを保護する―再建期の食堂・国際支援・医師)
医師の「献身」の意味
著者等紹介
福元健之[フクモトケンシ]
1988年山口県光市生まれ。博士(文学)。北海道大学文学部卒業。京都大学大学院文学研究科修士課程、博士後期課程修了。ポーランド政府奨学金でウッチ大学に留学。日本学術振興会特別研究員などを経て、現在は福岡大学人文学部講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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